9.07.2015

[music] Erykah Badu + St. Vincent

30日の日曜日の晩は、昨年夏のLAがそうだったようにHollywood Bowlでのライブ(ちなみにNIN + Soundgardenね)で、だんだんと日が暮れていくのを感じつつだらだら緩やかな坂を登っていくのが気持ちよいの。 人によってはバスケットやトートにワインの瓶とかをぶら下げて楽しそうなのでなんだろと思ったら、会場の前の方にはテーブル付きの席があってみんなピクニック気分で持ちこんでわいわいやっているのだった。なんかいいなー。

チケットはずっとsold outしてて、直前にリリースされる(はずの)数枚を地味に狙い続けて、離日直前に掬いあげたのだった。 この顔合わせだったら無理もないし、Erykah Badu単独でも十分そうなったと思う。 会場に向かう途上で眺めた限りでは客層は緩やかに分界してて、多数なのはゆったりだぼだぼオーガニックで、でも手を抜いているわけじゃないのよのおしゃれ上手オーラぷんぷんのBadu派と、ほんとはぴっちり決めたいけどいろいろ考えてちょっと緩めてみましたVincent派の、その混ざり具合が楽しいったら。

山を登ってなんかお腹すいたかも、とホットドッグの列に並んでいた7:30頃、突然”Rattlesnake”のイントロが聞こえてきたので慌てて席に走る。 チケットにあった7:00て、開場時間じゃないのね、たぶん。

St. Vincent、出音もじゅうぶん、彼女モデルのギターをぶんぶん振りまわし、バンド編成はこれまでと変わっていなかったようだが、ぴっちり銀ラメスーツを着込んでかくかく踊るダンサー2名を背後に従えて貫禄だった。もうぜんぜんライブハウスに納まるパフォーマンスじゃない。

1時間強、最後はステージから走り出て前のほうでワイン飲んでた客のグラスをかっさらって飲み干し、寄ってきた客にギター押しつけて錯乱状態でくるくるとステージに舞い戻り、ダンサーに抱きかかえられ制御不能のぶっこわれた状態で“Your Lips Are Red”をしんみり呟くように歌っておわった。

そしてErykah Badu。わたしのBadu体験は2001年8月、Mama's Gunのときのツアー - Central Parkのそれはそれは濃厚な夏夜のソウルで完全にやられて、更に2003年のS.O.B.'sでのライブでも叩きのめされた、そんなかんじ。S.O.B.’sのときはアンコールでThe Rootsが入ってきて、目の前50cmくらいのところでQuestloveのでっかいお尻の律動に目の前を塞がれ、あれこれ圧倒されて、要するにErykah Baduのライブについては全面降伏するしかない状態なの。

問題は今宵女王さまのご機嫌がどうなのか、で、バックの演奏が始まって5分くらい、やはり(ほらね)ぜんぜん出てこない。 やっと出て来たと思ったら、ステージまんなかのエレクトリックパッドを手でぱかぱか鳴らして、山のように高い帽子を脱いで、ティーポットから自分で注いだお茶(たぶん)を優雅に飲んでから、静かに客に向き合う。 客席固唾。

バックはバックコーラス3人を含む8人編成くらい、ギターレスで、ベルベットのように滑らかでしなやかに脈打つ極上のソウルが鳴っていて、彼女の歌はその上を気持ちよく滑っていく。威圧的に会場全体を圧倒しなぎ倒すディーバではなく、まずは慎ましくグルーヴを舌の上で転がしてみるかのように。  こないだリリースされた”Mixtape and New Álbum”の落ち着いたヴィンテージの風格そのままにノンストップで澱みなく。 それが夏のカリフォルニアの乾いた夜空にどれだけはまる快楽の風となったことか。

客席も含めてあがってきたのは4曲目くらいの”On & On”から、ジョークを言ったり変てこなポーズを決めたりするようになり、なんだそりゃも含めてこっちは大喜びで、やがて体を巻いていたカーテンみたいな布から脱皮する(ように見えた)と、デニムのオーバーオールで、すると空気も温度も更に軽やかに上昇し、みんな自然に立ち上がって踊りまくっていた。”Love of My Life (An Ode to Hip Hop)”とか、たまんないったら。

St.Vincentさんとの共演はなかったが、彼女について「かっこいいわねえ、あんな衣装着てやってみたいもんよねえ」とか言ってた。 できないことはないよ、て少しおもった。

それにしても、あのポーズ、だれが考えたのか。

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