9.11.2015

[film] Aloha (2015)

帰りの飛行機で見た映画ふたつめ。
Cameron Croweの新作が公開されない国になんか帰りたくない、てずーっと思っていた。

冒頭、過去の宇宙開発のアーカイブ映像 - 失敗したのが多い - がざーっと重なっていったその向こうからThe Whoの"I Can See for Miles"がわーんて走り出す。 ここだけでもう十分なの。

Brian (Bradley Cooper)は軍を辞めて大富豪Carson Welch (Bill Murray)とのコンサル契約を結んでアフガンに行き、そこでのミッションに失敗(16箇所だか骨折)して、仕事干されたあとで再び彼に拾われて、ハワイに向かう。

当面の任務は米軍基地の統合に伴って現地民の土地を接収したい、のでその説得と地鎮祭の実施。
そこに若くてぱりぱりの新兵Allison (Emma Stone)がお目付でくっついてきて、交渉そのものは微妙なのだが、Alisonの笑顔を現地民の長は気にいった模様。
  
ハワイにはもうひとつ、結婚直前に別れたBrianのExであるTracy (Rachel McAdams)がいて、彼女は彼と別れたあと、やはり軍人のWoody (John Krasinski)と結婚して2児をもうけて、幸せそうに暮らしている。 彼女と再会してWoodyとも会って認めあって、みんなそれぞれ思うところはあって。

ビリオネアの支援なしには成り立たなくなっている米軍の運営と彼らに土地を奪われてきた現地民の生活、という経済と支配のヒエラルキー(+その歴史)があって、その上でいったん全てを失った男、失いかけたものをようやく取り戻した女、まだこれからできらきらの娘、という3者が絡むの。 

やがてBrianの本当の仕事はCarson Welchの会社の新衛星を打ち上げること、というのがわかるのだが、打ち上げ直前にその衛星には核ミサイルが積まれていることがわかって、Brianとそれを別の方角から知ってしまったAlisonも揺れはじめる。

軍も富豪もイケイケで、成功して当然、やるべし、のように言うけど、みんなの星空にそんなものを置いてしまってよいのか、やっと自分らを信頼して受けいれてくれた現地民の人たちやハワイの自然に恥ずかしくないのか、と。

そうこうしているうちにロケットは発射台に乗っけられ、カウントダウンがはじまって。

一度すべてを失くした中年男が自然(のようなもの)と出会って自分を取り戻す、ていうのは前作の"We Bought a Zoo" (2011)とおなじで、ただあれが実話ベースだったのに対して、こっちはCameron Croweの創作で、だからというかなんというか傷を負った中年男のファンタジーで溢れかえっていて、だって雇い主は変てこだけど(一見)やさしいし、仕事はうまくいきそうだし、別れた彼女もまだ未練ありそうだし、彼女になるかもしれない若い娘はかわいいし、しかもここはハワイだし。

もちろんそんな、なにもかも都合よくはいかないのだが、でも十分じゃん、て誰もがふん、と横を向きたくなったところで、Alison - Emma Stoneの輝ける笑顔がぜんぶまっさらにおやじ臭をさらっていってしまうの。 そのへんの予期せざるバランスの悪さ、みたいのがないとは言わない。
けどいいの。  Sonyへのハッキングで流出したメールでぼろかすに貶されていたけど、そんなのぜんぜん。

とにかくEmma Stoneのハワイの太陽みたいな眩しさ(←凡庸)にやられてしまえ。

音楽もいつものようにー。 Harpers Bizarreの”Witchi Tai To”(だいすき)が流れるし、Bill MurrayとEmma Stoneが一緒に踊る”I Can't Go for That (No Can Do)” とか。

いちばん笑ったのはあれ、Bradley CooperとJohn Krasinskiの犬の会話。(見ればわかる)
あと、Alec Baldwinの役回りが”MI - Rogue Nation”とほとんど同じこととか。

あと、ハワイって、長女の映画が似合う、のかも。(→ “The Descendants”)


公開されないのはあれでしょ、沖縄と安保法案を思い起こさせるからでしょ?

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