30日、日曜日の午後、ハリウッドのAmoebaの隣のシネコン - ArcLightでみました。
これだけはなんとしても見たくて、お願いだから上映終っていませんように、だったJudd Apatow作品。
“Funny People” (2009)も“This Is 40” (2012)も劇場公開されていないし、どうせ日本では無理なんだろうけど、でもこんなに楽しくて面白いラブコメ、最近ないのになー。
ArcLightは初めてだったのだが、各シアターが広々きれいで上映前に係のひとが前に現れてぺこりと自己紹介してから、みんなの迷惑になるから携帯切ってね、画質と音質のチェックのために15分おきに見回りに来るのでなんかあったら言ってね、じゃあ楽しんで! とか言って消える。 こういう人力ガイド、NYのSunshineとか新宿のシネマカリテでもやっているけど、ここまで丁寧でちゃんとしてるのは初めて、この後2日続けてここに通ったのだが、ずっと同じだった。 上映前のCMはなし、予告は4本くらいで、上映作品によってぜんぶ変えてて重複は殆どなかった。 こういう映画館、ひとつでも東京にもあればなー。(遠い目)
さて、童貞喪失 〜 彼女の妊娠 〜 芸人というお仕事 〜 40になっちゃったよ 〜 と自分の半径10m(憶測)の人生模様をおもしろおかしく描いてきたJudd Apatowさんだが、今回はAmy Schumerの原作を得て、びっくりするくらい「まとも」なラブコメを作っているの。
雑誌社に勤めるAmy (Amy Schumer)は幼い頃、妻に逃げられてしまった父 (Colin Quinn)の話を聞いたりしているうちに、一生ひとりの男と一緒に、みたいのが信じられず、男とセックスしても朝まで共に過ごすことはなくて、たとえそこが海を隔てたスタテンだったとしてもマンハッタンの自分のアパートに這って戻ってぐだぐだの関係には陥らないようにしている。
スポーツなんてバッカじゃねえの(強く激しく同意)、ていう自分の雑誌の特集のためマッチョからほど遠いスポーツ外科医のAaron (Bill Hader)を取材したAmyは、こいつは自分がこれまで付き合ってきた男と違う(Amyが付き合うのは筋肉バカ系ばっかしだった)、と思いつつ気になりだして、Aaronのほうも彼女に惹かれていって、一度寝てしまうと彼は忠犬のように嬉々として彼女にくっついてきて、彼女は困惑して避けようとしつつ、かえって典型的なマンハッタンデートみたいのを楽しんでしまったりしてどうしたものか、になる。
Amyの背後には介護施設に入っている偏屈な父とか結婚して「普通」の家庭を築いている妹 (Brie Larson)とか、編集部の鬼編集長 (Tilda Swinton)とか異様に人懐こい編集見習い (Ezra Miller)とかがいて、Aaronの背後には彼の患者としてほんもんのLeBron James(NBAのひとね)なんかがいたりして、そういう小ネタが積み重なってあっという間の125分なの。 笑いはもちろんいっぱい、泣いてしまうところもいっぱい。
もちろん途中にはやっぱし会わないことにしよう、とか、体を張った取材原稿が結局ボツになったりとか山もあれば谷もあるのだが、とにかくこのぜんぜん美麗とは言えないふたり組がだんだんお似合いになってくるところがたまんないの。 互いのフィールドが異なる系のラブコメとしては“Fever Pitch” (2005)にちょっと似ていて、でもあれよかしっくりくる。 そういえばあれ、Bostonやろうの話だったしな。
ラストのぶちかまし具合は強烈で激烈で口あんぐり、完全にぶっとばされる。
Amy Schumerの下から突きあげるような破壊力、おそるべし。
そしてBill Haderもたまらなくいい。”The Skeleton Twins”を見て、”The Disappearance of Eleanor Rigby”を見て、これを見ると、このひとが体現する繊細さの、その最初っからの裂きイカのような細やかさにびっくりするはず。
小ネタの集積とそうして流れる時間を通して、ラブコメかくあるべし、みたいな定石から離れて、Judd Apatowはいつものようにはっきりとなにかを語ろうとしている。
それにしても、Lena DunhamがいてAmy Schumerがいる米国。
NYを舞台にしたラブストーリーとしてもお見事なの。 セントラルパークの池でリモコンボート遊びって、Nick Cassavetesの“The Other Woman” (2014) - これもおもしろかったのに公開されてないねえ - にもあったけど、やってみたら楽しいのかなあ。
Aaronが外科手術中のBGMにBilly Joelの”Uptown Girl”をがんがんかけているので、AmyはこれってBilly Joelの曲のなかではさいてーなのに、なんで? て聞いて(同感)、この曲はラストで反復されるのだが、その直後にBIlly Joelだったらこれだ! うりゃああーていうかんじで流れるのが - - 。
もういっかい見たいなー。
9.05.2015
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