19日の日曜日の昼間、六本木で見ました。 ようやく。
オリジナルのブロードウェイのは、オープンした頃にNYのオフィスにいたおばさん(典型的なイタリア系の、口やかましいおばさん)がやや興奮ぎみにやってきて、いいか、あれこそがあたしの青春どまんなかのお話しなんだ、せったいよいからだまされたと思って見てこい、て散々煽られ、でもあんたの青春にはあんま興味ないから、て結局行かなかったのだった。
おばさんの青春はともかく、行っておけばよかったねえ。
冒頭、"December 1963 (Oh What a Night)"が鳴りだしただけで、うぅ(やばい)、てなって、最後のほうはぼろぼろに泣いてた。 特にFrankieの娘が亡くなってBob Gaudioがあの曲のスコアを持ってきて、スタジオのリハで曲の旋律の一部がぽろぽろりと聞こえたあたり、それが(わかっちゃいるのに)、きたきたきた(もうぜったいだめ)ってなって堤防が決壊してからはいっきに最後まで、画面がまっくらになるまでは滝のようだった。
音楽がいかに人の生を照らしだし、その同じ灯りが愛しいひとの顔と瞳を映しだし、それがどんなふうに救いと希望と安堵をもたらしてくれるのか、そのありさま ー 3ピースバンドが4ピースバンドとなり、やがてホーンやストリングスの奔流を巻きんでエモの洪水として襲いかかってくる、その数十年に渡る愛の絵巻を、そいつを3分間にパッケージしてしまう魔法。 魔法だからね。 抗っても分析してもしょうがないのよ。
どこにでもある/あった、使い古されたローカルバンドの成功譚。 大成功のあとで、メンバーの使い込みがばれて、でもそれを歯をくいしばって自力で返済しようとする。 拾いあげてくれた仲間だから。 Jerseyの少年達だから。
もういっこ、裏の旋律としてイタリア系ギャングのうんたら、ていうのもある。
一度その目線を交わして掌を合わせたら、その契りはぜったいで、決して目をそらしてはならないの - Can't Take Your Eyes Off Me.
でもだからといってべったりしていない。 浪花節にも根性節にもならなくて、ひたすら音楽に、ハーモニーに向かっていくの。 バンドのバイオグラフィを音楽が追っかけるのでも、音楽の連鎖のなかにストーリーを浮かべる(ミュージカル)でもなく、そこには最初から音楽しかない。63年の12月のあの夜のことしかない。
“Oh, what a night
Hypnotizing, mesmerizing me
She was everything I dreamed she'd be
Sweet surrender, what a night”
ここでの”She”が音楽なんだ。 たとえば。
Clint Eastwoodの映画作法とか傷痕みたいのを掘るのは別にやりたいひとがやればいいけど、今回のに関してはBob Crewe & Bob Gaudio組の驚異とか、Frankie Valliの奇跡とか、そっちのほうだから。
ブロードウェイのプロダクションとしてあった、ていうのもあるけど、作家性のはなしなんてなくてもぜんぜん。
とか思うものの、画面の黒とか赤紫とか、素敵だよねえ。 (撮影はTom Stern)
小学生のとき、BCRの"Bye Bye Baby (Baby Goodbye)"があって、大学生のときは、Boys Town Gangの"Can't Take My Eyes Off You"があって、これらはいつどこに行っても流れていたので、なんか刷りこまれている、というのを改めておもった。 この映画が音楽好きの子供たちによい形で刷りこまれますようにー。
関係ないけど。 Rainer Mariaが復活し、Cursiveの”The Ugly Organ"が再リリースされ、The Afghan Whigsの"Gentlemen"が21歳記念で再リリースされ、更にはSleater-Kinney までもが! なんというか、きっとふつうじゃない、よくないことがおこる。
これも関係ないけど、この映画のイタリア系移民の英語、とってもなじんでてわかりやすい。
自分の英語脳はイタリア系とプエルトリコ系なのね… てしみじみした。
10.21.2014
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