前の前、米国-メキシコ-英国-オランダ-ドイツの出張から戻った翌々日の21日、日比谷でみました。
監督がGus Van Sant、原作はDave Eggers、これをMatt DamonとJohn Krasinskiが脚色して、エネルギー利権に絡む環境問題(ていうほどじゃない。その行方、くらい)を慌てず騒がずどっしりと描いた愛と正義のいっぽん。 まったく嫌いじゃない。
シェール採掘会社の営業屋 Matt Damonが君には期待しているから、と上に言われて部下のおばさん - Frances McDormand と共に田舎町に送り出される。 土地の農家にかけあってお金と引き換えにガスの採掘権をもらう、そういう契約を結ぶ。 地権者は高く売りたいし、買うほうは叩いて安くしたい、けど農民には金がいるし町にも金がいるし、大筋ではお金のほうに流れてくるはず、買い側が楽勝のはず、だった。
けど環境へのリスクがある、と地元の老人がひとり立ち上がり、はいはいじいさん、て嘗めていたら実は引退したばりばりの科学者でエンジニアだった、とか、どこからか環境保護団体のJohn Krasinskiが降りたち、先祖代々から続いていた土地をシェールはぼろぼろにした、後にはなにも残らなかった、止めなければいけない、て人なつこくキャンペーンを始めるとか、あとは土地の娘にぽーっとなってしまったりして、だんだんに揺らぎはじめる。
これを単なるビジネス戦記のように描くのでも、正義と悪の対立のなかに描くのでもなく、アメリカの田舎に流れるほんわかした空気と共に、いろんなひとがいていろんな考えかたもあるしお天気だって変わるよね、とうぜんよね、みたいに醒めて描いているのがよいの。 契約書ていう紙っきれのために大企業はものすごい時間と労力をつぎ込んで、その紙っきれが地面に穴をあけて、そいつが別の紙っきれ(札束)を呼びこみ、それらが(一部の)ひとを幸せにする、という近現代の異常さがとてもわかりやすく暴かれている、というか。
ある土地に生まれてそこで育ってそれを引き継いでそこに暮らして次に渡す、それは契約うんぬんとは全く異なる世界のはなし、そのサイクルを司るなにかにあーめん、て手を合わせるのは好き好きだとおもうが、でもそれらはやっぱしPromised Landと呼ばれる目に見えない契りのなかにあって、われわれが生かされるのはこちらのほうなのだ、という。
決して「連中」の運んでくる紙束に置換しうるものではないのだ、と。
要するに金じゃねえんだよ坊主、ていうだけなんだけど、殴り合いにも殺しあいにもならない、勝者なんてどこにもいない原っぱのまんなかでそれを呟くのが素敵なの。
Matt Damonの最後のほうの顔がすばらしくよいねえ。
苦渋、というより悶々とした表情の果てに、静かになにかを見つけたとき/なにかを捨てたときの顔。
あとは大企業って、えげつないのよね、ほんと。 国もそうだけど。 よいこはくれぐれも気をつけないとね。
10.10.2014
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