24日の土曜日の午前、まだ時差ボケもあってぐだぐだなのに、そういえばこれもバウスだった、と思いだして慌てて出かける。 爆音ではなくて、シアター2の、小さいほうね。
『ウィズネイルと僕』
これは欧米ではごくふつーに必見のカルトの星で、Ralph Steadmanによるカバー画(+ポスター)のCriterionのDVDも持ってて当然のやつで、でもスクリーンでは見たことなかったかも。
69年のロンドン、うぬぼれ屋で我が強くてつんつんしたWithnail (Richard E. Grant)と、ちょっとおっとりしているけどだめだめの「僕」(Paul McGann)はどっちも役者になりたくて、でも仕事が来ないから結局のところ失業者でしかなくて、毎日酒とクスリに溺れてごろついているのだが、寒いし腹へったし家はゴミとか虫とかだらけでおもしろくないので、WithnailのおじさんのMonty (Richard Griffiths) - でぶでゲイで変態で、でも金持ち - の田舎のコテージを少しの間借りてそこで暮らすことにする。
けど、天気はずっと悪いし寒いしなによりも食べ物ないし、たいして変わらずに終始ぶうぶう言っているばかりで、下心むんむんのおじさんとかもやって来るし、あんまいいことないからロンドンに戻ることにして酷い目にあいつつも戻ったら、一応「僕」のほうには役者の仕事がきて、でもWithnailにはこなくて、つまんないから公園でシェイクスピアかなんかを吟じるの。 それだけなの。
だめですることがなくてしょうもなくて、そういう連中がぐちぐち言いながら横滑りでだらだら無為に過ごしていく日々を美化することも卑下することもなく、細工も工夫も奇跡もなく、赤裸々に、とかでもなく、ただただカメラでとらえて、それだけなのになんでこんなにおもしろいのか、美しいと言ったってよいくらいなのが不思議なの、ほんとに。 ブリューゲルの絵みたいなおもしろさ。
映画の舞台は69年のロンドンなのだが、ここにあるのは80年代、死ぬほど訪れてみたかったロンドン、でもあるの。行ってみたところでこんなふうなぼろかすになるのがわかっていたのに、それでも行ってみたかったロンドン、変な人たちがうようよしていたロンドン、そのかんじがあるの。
最近の英国男子ブームとか、ぜんぜんわかんないのだが、このふたりとかはちがうの?
こうして再びロンドンに行ってみたくなったり。
5.29.2014
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