5.25.2013

[film] De Rouille et D'os (2012)

18日、土曜日の昼間に渋谷でみました。終わっちゃうそうだったし。
『君と歩く世界』。英語題は"Rust and Bone"

無一文で宿無しらしいAlain (Matthias Schoenaerts)は息子を連れて南仏の姉のところに転がりこんで、警備員の仕事とかを始めて、クラブのいざこざからStéphanie (Marion Cotillard)と出会う。
Stéphanieはマリンランドでシャチのショーをやっていて、ある日シャチが乗りあげてきてセットが壊れ、彼女は膝から下を失ってしまう。

目覚めた病室で両足がないことを知った彼女はどん底に落ち、自棄になってAlainに連絡をしてくる。
彼は無造作にStéphanieを部屋の外に、海に連れ出して、彼女はそんなつもりはなかったのに泳いでみたらなにかが開けたかんじになって、それ以来ふたりは仲良くなっていく。

監督は『預言者』(2009) のJacques Audiardで、Alainはボクシングをやっていたという設定のぶりぶりの筋肉野郎なので、またきつくて辛い男の獣道系のお話かと思って、実際に格闘技の殴り合いとか痛そうなところはいっぱいあるものの、そういうのではなかった。 脚を失ったStéphanieが脚(骨)を獲得してしっかりと立つ、そういうお話かも。

義足をつくったStéphanieが「機能するか確認するために」Alainとセックスしたあと、ひとりベランダに立って、Katy Perryの"Firework" - シャチのショーでいつも流していた曲 - に合わせてショーの振付けをして、そこから更にマリンランドの水槽のところに行くの。 暗い水槽をこんこん、て叩くと奥のほうからでっかいシャチがやってきて彼女に挨拶をしてふわりと包みこんで、彼女の腕の動きに従って動く。 彼女はほとんど後ろ姿だけなのだが、この流れはとっても好き。

あと、ストリートの賭け格闘技でお金を稼ぐようになったAlainがやられそうになったところで、普段は殴り合いを恐がって車のなかにいる彼女が、鬼の形相(ややMelissa Leo入り)で車から出て、Alainのほうに歩いてくるとこ。 (結果はいうまでもなく)

というわけで、これはほとんどすっぴんで通すMarion Cotillardの映画で、すばらしいったらないの。
ああ、James Grayの"The Immigrant"を早くみたいー。

『君と歩く世界』ていうほどふたりはべったりしていない。Alainは後半にいくにつれ格闘技の世界にどんどんはまって鍛えているばかりで、Stéphanieは彼に会いたくなると携帯で"Opé?"(やれる?)ってメッセージ送るの。その程度の距離感もいいの。

なんか幸せに終わりそうな映画だねえよかったねえ、とおもったら最後の最後にほんとに痛そうなのがあって、つくづくいじわるだとおもった。 脚を失っても拳がつぶれても、なんとかなるってか?

音楽は最初と最後に流れるBon Iverが素敵。
あと、なんでかBruce Springsteenの"State Trooper"も流れる。 NJは関係ないよね。

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