11日の土曜日、『乙女ごころ三人姉妹』に続けてみました。
昨年、シネマヴェーラの「昭和文豪愛欲大決戦 2」で、増村保造 - 若尾文子 - 平幹二朗 - 京マチ子 - 梓英子 バージョンの『千羽鶴』(1969) は見ていて、こっちも見ておきたかった。
こちらのバージョンは、吉村公三郎 - 木暮実千代 - 森雅之 - 杉村春子 - 乙羽信子 なの。
どっちも、なんともいえずおもしろいよう。
菊治の父の妾さんだった太田夫人が成長した菊治とお茶会で出会ってぽーっとなってずりずりと寄っていって、父と息子の両方を味わってから熱くなりすぎて死んじゃって、それとおなじように菊治も太田夫人とその娘の文子の両方を味わって、それって志野焼をしっとり代々愛でるようなもんなのかしら、ていうのと、ひとは陶器じゃねえんだよばかやろー(がしゃーん)、ていうのと両方あって、男にはとっても都合よくできた、なかなか不気味で滋味深い幻想小説なの(... ちがうか)。
このバージョンは増村版よか相当あっさりしていて、菊治が文子と寝るところはないし、志野焼を割っちゃうのは嫉妬に狂った杉村春子で、それはそれでぜんぜん無理なくて、ラストの浜辺の菊治と文子のお別れのシーンも静かで爽やかで悪くないのだが、それでいいのか、というのも少しだけなくはない。
ひとの情念が宿ったかのように艶めかしい陶器と、それに引き摺られるように捏ねられて焼かれていくひとの業と、という底なしの泥沼のかんじ(女はすっこんでろ)があまりなくて、割れちゃったしぜんぶリセットしませうさようなら、みたいなノリってどうなのか、と。
しかし、69年版の若尾文子のふんふん欲情した佇まいと比べても、今回の木暮実千代は負けていなくて(全体からは浮いてるけど)、さすが雪夫人(絵図)、てかんじ。
あと、彼女の指がすごくふっくらと柔らかそうで、なんというか。
Pedro Almodóvarにリメイクしてほしい。 太田夫人はPenélopeで。
5.21.2013
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。