10.11.2023

[film] Flora and Son (2023)

10月3日、火曜日の晩、Picturehouse Centralで”Blackberry”を見終えて出たら21時くらいで、ここの次の枠でこれをやる、って出ていた。Appleの配信で見れることは知っていたものの、でっかい画面のそれであればそっちのがよいし、いまここでホテルに帰ってもパッキングやだようーとかごろごろして落ちたりするだけなので、映画館前のMacでビックマックとコーヒーを買ってシアターに戻る。客はぜんぶで3人くらい。

邦題は『フローラとマックス』だが、原題はクライマックスで登場するバンドの名前でもあるので、ここは変えちゃだめなんじゃないの?

作・監督はJohn Carney - “Once” (2007)、“Begin Again” (2013)、“Sing Street” (2016) - なので、まーたいつもの、に決まってるし実際そうなのだが、べつにいいじゃんアイルランドではこうなのかも、って。

ダブリンに暮らすシングルマザーのFlora (Eve Hewson)は十代で生んだ一人息子のMax (Orén Kinlan)を割とほったらかしてきて、バーで呑んで踊って見知らぬ男と朝までいたり明日の希望も将来の展望もなくぼーっと過ごしていて、ゴミ捨て場でギターを拾ったので息子の誕生日にあげたら誕生日は前日だしラップトップでヒップホップ系の音を作る彼からは興味ない、って言われたのと、TVの素人タレント発掘番組を見て自分にも歌って弾くのはできそうな気がしたので、オンラインの教室を探して西海岸のギター教師 - Jeff (Joseph Gordon-Levitt)とのマンツーマンレッスンにたどり着くのだが、レッスンを始めると彼女は画面上のJeffにぽーっとなってしまい、Jeffにも呆れられてやるきあるの? って怒られ、何度も頓挫しそうになるのだが自分で曲を作って歌いたい、ていう目標をたててがんばる。

Maxは楽器店で機材を万引きしようとしたり不安定なのだが、彼の作った音楽とラップをやるじゃん、て思った母が、彼が好きな彼女に向けたラップビデオを撮ってあげたり(結果惨敗)とか、ずっと放置してきたのにそこまでやる? もあったりするのだが、とにかく最後はFloraの曲がMaxとJeffも繋いでめでたし、になる。それぞれの置かれた場所とやりたいこと、めざすものが最後になんとなくでも実現されるのはとにかくよかったねー、なのだがその中心にある音楽 - 曲がちょっと弱かったかなー。オンラインの向こうにいるJeffはしばしば画面を飛びだしてFloraのとこに現れたりするのだが、彼をダブリンに呼び寄せるくらいの強さがほしかったかも。


No Hard Feelings (2023)

10月4日の帰りのJAL便で見ました。
監督は”Bad Teacher” (2011)や”Good Boys” (2019)を手掛けたGene Stupnitsky – なので大丈夫であろう、と。

モントークの母の遺した家に暮らす32歳のMaddie (Jennifer Lawrence)は借金で首が回らなくなりUberのバイトをしているので車だけは持っていかないで、って旧知の回収屋に泣きを入れたのに差押えられ、ローラーブレードでもういっこのバイト先のバーに通うのはしんどいし、このままでは家も失ってしまうし、まずはなんとしても車を、ってあちこち探していると、クレイグリストに19歳の息子の相手をしてくれたら車をあげる - 求む20代前半女性、というのを見つけて、こいつはカモかも、ってそれを出した彼の両親(Matthew Broderick長髪、Laura Benanti)に会いにいくと、見るからに資産家大金持ちのパパとママはもうじきプリンストンに入る息子がパーティにも酒にも女にも興味がなさそうで困っていて彼の友達になってやってくれないか、と - それってあなたらの子とセックスしろってこと? と聞くと、そうだ、と返すのでがってん、やったる、って。

息子のPercy (Andrew Barth Feldman)のバイト先のアニマルシェルターに乗りこんでいったMaddieは派手な格好をして彼を引っ張り回して誘惑にかかるのだが、彼は何事にもピュアなよいこ過ぎてMaddieの調子が狂っていくのと、肝心なときになると事故だの湿疹だの邪魔が入ってなかなか目的まで辿り着けなくて、やがてPercyが犬のようになついてくるとこんな形で騙したみたいに奪うのではなく、ちゃんとやりたい、って思うようになるのと、やっぱりMaddieと両親の裏取引がPercyにばれてしまい…

80年代より前にはいくらでもあった気がする童貞喪失どたばたコメディで、そこに堂々たる(本当にすごいと思う)Jennifer Lawrence - 少し前ならCameron Diazあたりがやったはず - がぐいぐい引っ張っていく面白さはあるのだが、こういうの今だとハラスメントすれすれに見えてしまう、というかもろハラスメントになってしまうよね。

あと思ったのは、これって”Ferris Bueller's Day Off” (1986)のFerris (Matthew Broderick)が成功した父親になって、その子供がCameron (Alan Ruck)みたいだったら… という設定にしたドラマなのかも。どうやっても大人になれないPercyがパニックを起こすところとか、パパの車(テスラ)を木にぶつけて壊すところとか、そっくりじゃないか?

あと、結果としてPercyはひとり「やった」って思いこんでいるようなのだが、ああいう場合に「やった」ことになる定義って明確にあるのだろうか? どうでもよいけど。


これを見たあとは、”Interstellar” (2014)を流して宇宙を彷徨いながら羽田へ。

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