10月2日、月曜日の晩、Curzon BloomsburyのDocHouse - ドキュメンタリーフィルムを専門に上映する部屋 - で見ました。
ここのCurzonはショッピングセンターの中にあって、上映前によく通っていたWaitrose(スーパーマーケット)のなかをうろついていろいろ懐かしくなりフムスを買ったり。ここの並びに新たに中華系食材のマーケットもできていたし、Nando’sもあるし、エリアとしては最強かも。
監督はEthan Silverman、制作はDogwoofで、9月に一晩だけの上映会があった後、月末にリリースされて、いまは普通にストリーミングで見ることができる模様。
流れた予告のなかで見たいと思ったのは、Errol MorrisによるJohn le Carréの生前最後(なのかな?)となったインタビューをふくむ評伝ドキュメンタリー”The Pigeon Tunnel”。
ここんとこDavid Bowieの偉大さばかりクローズアップされている気がするが、わたしは当然のようにMarc Bolanもすばらしいと思っていて、もちろん両者は別々の星からやって来ているので比べられるものではないのだが、グラム - グラマラスとか徒花一代(パンク)というあたりにおいては、やはりMarc Bolanのアウラにかなうものがあろうか、と勝手に思っている。
インタビューやフッテージを繋いだ単なる評伝ではなくて、Hal Willner - 撮影後に亡くなられたので最後に哀悼のメッセージがでる - プロデュースによる同名カバーアルバムのレコーディングの過程とそけに参加したミュージシャンそれぞれにとってのMarc Bolan像が語られる。あとプライベートなところだとパートナーだったGloria Jonesと彼女との間にできたRolan BolanがMarcとの思い出を語ったり。ファン代表としてDef Leppard のJoe Elliott とかThe BongosのRichard Barone - この人ぜんぜん年取らないな - とか。
最初がU2 & Elton John - “Bang a Gong (Get It On)” - で、声はなんとなく似ているんだけどBonoの声ってちっともセクシーじゃなくて、それ言うとU2ってよくもわるくもぜんぶがそう(ガキ向け)なので、あー、になった。 続いてがNick Caveによる”Cosmic Dancer” - で、Hal Willnerさんが顔をくしゃくしゃにして頭抱えたりしていたのはなぜだったのか? Nick Caveだと結局ぜんぶNick Cave節になってしまうということではないか、とか。 こんなかんじであのアルバムに参加している全員が揃って出てくるわけではなく、登場するのはJoan JettとかBeth OrtonとかLucinda WilliamsとかJohn Cameron MitchellとかFather John MistyとかMacy GrayとかMaria McKee (!) とか。
男性だとどうしてもなにか(ってなに?)を意識してしまいがちなのか、女性によるカバーの方が圧倒的にすばらしく、のびのびストレートに届いてくるかんじ。 でもSliderでEasy Actionしたいという最近の若い子達はいないのかしら? Brit以降、ブギーなんて誰もやらないのかねえー。
パンクとの関連だと彼がホストをしていた番組”MARC”で、初期のJamやGeneration Xを紹介する場面も出てくる。自分がMarc Bolanを知ったのもCherry Redから出た”You Scare Me to Death” (1981)だったし、ふつうにパンクの流れに置かれていた人、でもあったの。
彼の楽曲のシンプルだけど人懐っこくへばりついて鼻唄で永久にふんふんできて、でも地を這う重力も磁力も兼ね備えた、その不思議で変な魅力や出会いを登場するみんながそれぞれに語ってくれるのだったが、それはやっぱり宇宙の謎的ななんかを語るのとおなじでとりとめのないものになってしまっていた気がする。それがMarc Bolanの魅力であることは十分にわかっているのだが、なんかあとひとつ欲しかったかも。
あと、映画の最後に紹介されるレコーディングのバックバンドが(曲によるようだが)なかなかびっくりで、ドラムスにPete ThomasとかBudgie、ギターにはWayne Kramer、Marc Ribot、Bill Frisell、あとVan Dyke Parksとか。みんなHal Willner人脈ではあるがー。
Hal Willnerさんは2011年にNYのThe Stoneで一度だけ、Philip GlassとのDuoのライブを見たことがある。Allen Ginsbergの作品を朗読したり歌ったりの会だったのだが、Philip Glassをピアノの前に座らせて小僧のように使っていた。客席ではLou Reedがひとりで大喝采していた。改めて惜しい人を..
Marc Bolanにも”Moonage Daydream” (2022) 級の「強い」ドキュメンタリーが欲しい。彼ならできたっておかしくないー。
10.09.2023
[film] Angelheaded Hipster: The Songs of Marc Bolan & T. Rex (2022)
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