9月30日、10月1日の土日、ロンドンの週末、美術館などに行けるとしたらこの二日間しかない。
Gabrielle Chanel. Fashion Manifesto @ Victoria and Albert Museum
まだ始まったばかりなのにチケットはぜんぶ売り切れていて、こういう場合はどうするかというとメンバーになってしまうことよ。いずれモト(モトってなに?)は取れる、取れるように動くこと。
2017-19のDiorの展示に続く20世紀ファッション・デザイナーの大規模回顧、でよいのか。Diorのが彼の作った「メゾン」の歴史と全体像を網羅していたのに対して、こちらはChanelの「マニフェスト」を、彼女がどう生きて、ファッションを通して何を言わんと/やろうとしていたのかにフォーカスしていて、なのですべての展示がものすごくわかりやすい一貫性でもって迫ってくるのでそこに感動する。(Diorのが物量も含めお城-帝国の凄みを見せつけたのに対し、彼女は一着の服が、それをどう着るかがメッセージになるのだ、って埃をはたくように示してみせた)
だから今回Doirの華やかなドレスがばーんて並んでいたのとChanelのスーツが同様に並んでいたのとはメッセージとしてすこし違うよね、とか。
『去年マリエンバードで』のあの黒のイブニングがあったのには痺れた。
Diva @ Victoria and Albert Museum
これも土日のチケットは売り切れになっている展示。入口でヘッドフォン(よい音)を貰って中に入って各展示(各Diva別のブース)の前に行くとその人の歌などが流れて聴くことができる。一階はオペラからSarah Bernhardtからオールドハリウッドの女優たち- Clara Bow, Carole Lombard, Joan Crawford – “Mildred Pierce”の衣装! Bette Davis, Judy Garland, Barbra Streisand – “Funny Girl”の衣装! など。
2階は現代における所謂Diva! たちで、誰もが知っている有名どこがいっぱい。ロック系だとSiouxsie SiouxからDebbie HarryからPJ Harveyまであるし、Elton JohnとFreddie Mercuryも入っている。そこに入っていたらどうなのか、というと、Divaなんだからすごいんだから、だけで、それでよいのだと思った。ただもう少し、(その多くが)傷だらけの(を経てきた)Divaアイコンやドラマを求めてしまう現代のスターシステムのありよう、について考えさせる内容にしてもよかったのではないか。
Marina Abramović @ Royal Academy of Arts
彼女の結構規模の大きい展示は2018年末にフィレンツェで見ていて、それと同規模で、会場のあちこちに大スクリーンとリアル人体による展示(パフォーマンス)もあって圧倒される。女性の身体がこんなふうに置かれたり晒されたり、不機嫌とか暴力(的ななにか)のありようを(しつこく何十遍も)ほら、こーんなにされてきたんだけど!さ! おい! っていう、その生々しさと力強さと。 10/1にはSouthbankのQueen Elizabeth Hallで彼女のトークがあったのだがやっぱり行けなかった..
Herzog & de Meuron @ Royal Academy of Arts
ここの奥でたまにやっているモダン建築関係の展示。細かければ細かいほどすごいーこんなのどうやって作るんだげろげろー、ってのけぞりつつ変なのーって見てしまう。近くに寄るとめちゃくちゃ精緻な竹籠みたいのがただの箱のようにいっぱい積んであって、潰して燃やしたくなる。
Christian Marclay: Doors @ White Cube Mason's Yard
展示の最終日だからか結構混んでいた。1階はドアの破片とか刻んだり積んだり圧縮したりしたガラクタみたいなオブジェが展示されていて、メインの地下一階は暗室で彼の”The Clock” (2010)と同様のエンドレス繋ぎ映画 – “Doors”。 ドアを開けて人が出たり入ったりして閉じる、の一連のアクションを拾って異なる映画の場面をえんえん繋いでいく。ドアの向こうには別の世界があり別の人がいる、それがわかるかたちでどこでもドアを介して無限に広がるひとつの世界が示されていって、おもしろくて飽きなくていくらでも見ていられる。どこかで見た映画の断片もあったりするのだが、あれなんだっけ? をやりだすと見過ごしてしまうので、いちいち追わない。
Portraits of Dogs: From Gainsborough to Hockney @ Wallace Collection
タイトル通り、古今のいろんなわんわんの肖像を集めて並べたもの。昔の宮廷画家が描いた空っぽでかわいいだけのものからHockneyのダックスからLucian Freudからいろいろ。どれもかわいいが、ヴィクトリア女王が描いたお犬さまの絵数点が味があって素敵だった。
あと、映画のあれで、フラゴナールの”The Souvenir” (1776–8)を久々に。場所も変わっていなかった。
Frans Hals @ National Gallery
National Galleryで始まったばかりの展示。10/1の日曜日、トラファルガー広場は日本まつりをやっていて朝から和太鼓がどかどかうるさい。これってどちらかというとこちらで暮らす日本人のためのお祭りだから好きにすれば、だけど性加害だの汚染水放出だのであれだけ世界から顰蹙を買っているのにしれっと「ただいまー」なんてよく言えたもんだわ。
17世紀のオランダ共和国の小都市ハールレムで貴族などの肖像画を描いたハルスの珍しい回顧展。みんな陽気でころころでくるくるでてかてかオイリーで豚のように肥えててどうだ! ってかんじでこちらを向いていて、華やかで空っぽで、そういう肖像が求められていたのだなー、ってそれだけ。
本は、展覧会のカタログも買わず、雑誌多め(最近円安でほんと高いし)、それでも何冊かは買った。
・Roger A. Deakins: Byways 撮影監督のモノクロ写真集。サイン本だった。Devon生まれだったのね。
・Surreal Spaces: The Life and Art of Leonora Carrington 評伝本。絵と写真いっぱい。
あと本屋のHatchardsが少し配置を変えて、美術系の古書がいっぱい並んでいてやばかった。
レコードは、Rough Tradeに行っても買わない買わないの呪文をかけてて、でもJosef Kの1stの再発 - 何回再発してるのか、そして何枚おなじの買っているのか、って自分に怒った。
10.12.2023
[art] London - 0930/1001
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