9.27.2022

[film] L'Effrontée (1985)

9月23日、金曜日の夕方、シネマカリテで始まったクロード・ミレール特集(見なきゃ)で見ました。『なまいきシャルロット』。英語題は” An Impudent Girl” - 生意気娘。
上映後に山崎まどかさんと野村由芽さんのトークつき。映画は、上映当時に見て以来でまったく憶えていなかった..

Charlotte (Charlotte Gainsbourg)は13歳で、母はいなくて、フランスの田舎で町工場を営むぼうぼうした父と遊び盛りで楽しそうな兄と、メイドとしてやってくるLéone (Bernadette Lafont)と暮らしていて、友達というと近所の病弱なメガネっ子Lulu (Julie Glenn)くらいで、ヴァカンスに出かけるでもなく、近所のダンスホールに行くわけでもなく、なにからなにまでつまんなくて日々腐ってそこらに突っ立っている。

学校で流れていたTVプログラムでオーケストラとピアノを弾いていたClara Bauman (Clothilde Baudon)の姿にうっとりしたりしていたら、自分ちの工場に椅子の調整の注文に来た彼女と知り合うことができて、出来あがった椅子の配達で彼女の豪邸(Jean-Claude Brialyがプールで遊んでいる)に行ったら、なにもかも憧れとしか言いようのない彼女から好きなドレスを着せてもらったりツアーのマネージャーとして付いてこない? って誘われたりして舞いあがり、そんなふうにいけいけになった合間、一緒に椅子を運んだ工員/船乗りのJean (Jean-Philippe Écoffey) – ほんの少し気になってた - からはデートに誘われて、大人の雰囲気ぽかったのでおとなしく相手してたらやっぱり襲われて、こんなはずじゃなかったくそったれ、になったり。

なにをやりたいという夢があるわけではないのだが、とにかく今の退屈な毎日からは抜けだしたい – 抜けだすことさえできればなにかが変わってなんとかなったりなにかが見つかったりするはず - のになにひとつどうにも動いてくれない、頼りにしたい人はちっとも構ってくれないし、いろいろ – Luluとか足元に絡みついてくるものもあり、結果として苛立ちとか嫌悪とかなにやってるんだろ、等でがんじがらめになって身動きがとれなくてなんたることか、ちくしょうめ。

一番彼女のことをわかってくれていそうなのは母の代わりのようにいてくれるLéoneで、実際とってもやさしく厳しく見てくれているのだが、でもシャルロットを「なまいき」って枕にぎゅーっと押しつけてくるのはそんな大人たちでもあって、ほんとに始末に負えない - のは向こうだって同じで、つまり誰かが魔法を使って解決してくれるようなものではないのだ。という魂のせめぎ合いをどちら側の岸から眺めることになるのか、についてはトークでも言及があったが、やっぱりなんでかシャルロットの方になってしまう。苛立って、しゃくに触ってあたまきて、だいたい後になって落ち込んで、忘れてしまいそうなのに結構忘れずにいつまでも残っていたり。たぶん、自分が人の親にならなかった最大の理由ってこの辺にあるので、親目線は無意識に避けてしまうのだろうか。

でも、公開当時はというとそんなふうに見たりすることはなくて、“La boum” (1980) - Sophie Marceau - の次、くらいの位置づけで楽しい主題歌にふんふん首を振っていた気がする。

上映後のトーク、ああーそうかー、だったのがCarson McCullersが原作でFred Zinnemannが映画化した”The Member of the Wedding” (1952)である、というとこ。確かにそうだねえ。IMDBのクレジットには記載がなくて、Triviaのところに”a loose adaptation”で、権利交渉で時間がかかったのでとりあえず作っちゃた、みたいに書いてある。なんかすごい。

同系の「女性映画」として、”Seize printemps” (2020) - 『スザンヌ、16歳』もそうだなー、って。Eliza Hittmanのとか、Diane Kurysの”Diabolo menthe” (1977) - ”Peppermint Soda”とか、少し歳上だったら”Wanda” (1970)もそんなふうだし、Chantal AkermanやSusan Seidelmanの監督する作品ってどれもそうだと思うし、いっぱいある気がする。というか、こんなにも女性に居心地の悪い世界を作っているのはどこのどいつだよ、って。(わかってる)


日本史に残るShame on You! の一日だった。こんな日に『周遊する蒸気船』(1935)のようなバカ映画(誉めてる)とか見ることができてよかったわ。

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