22日、日曜日の昼、BFIの日曜日サイレントのお時間に見ました。ひさびさのサイレント。
英語題は”The Phantom of the Moulin-Rouge” (1925)。日本公開はされていない? ライブピアノはNeil Brand氏。
大好きな『奥様は魔女』(1942) のRené Clairの作品で、ついこの間Lobster FilmsとCinémathèque Françaiseによるデジタル修復を終え、英国の観客には2回目(1回目はどこかの映画祭)のお披露目となるのだそう。で、この修復版は従来知られてきた90分版に紛失したり散逸したりしていたパーツを繋いで103分のバージョンになっていて、BFIの古典映画の先生 - Bryony Dixon氏によると昔自分がみた90分版よりも相当おもしろくなっているから楽しんでって、と。
タイトルだけだと怪奇ホラーもののようだが、どたばたコメディ活劇、のようなやつだった。
パリのビジネスマンで、新聞に記事が載るくらいそこそこ成功しているJulien (Georges Vaultier)にはYvonne (Sandra Milovanoff)ていう恋人がいて結婚するつもりなのに彼女の父は昔の仕事のことで悪ゴシップ紙の偉いじじいから娘と結婚させろさもなくば過去のあれを暴露してお家取り潰しにしてやるぞ、って脅されて、娘にJulienと一緒になることは許さん、て告げる。 YvonneもそうだがJulienも納得いかなくてどんよりしてしまい、いとこに誘われてムーラン・ルージュでぱーっと、やろうと思っても浮上できずにしけた顔をしていると怪しげな男が声をかけてきて、自分は医者で、そういう気分を軽くできる画期的な術を知っているが試してみないか、と(これってふつうに覚醒剤を誘う手口よね?)。
その翌日からJulienの姿がどこかに消えてしまい、パリのところどころで変な現象が観測されるようになり、なにが起こったのかというと、医者が彼になんかを施して、Julienの魂は亡霊のように彼の身体から遊離して自由になって飛び回っているのだった(彼の姿は半透明で宙に浮いていて、人には見えない。でも物を運ぶことはできるらしい)。Julienも現世のことを忘れて自由に飛び回れるこの姿を気に入って自分の身体は医者宅に置いたまましばらく勝手に過ごすことにする。
他方、現世ではゴシップ紙のじじいが Yvonneにやらしくにじり寄って、同じゴシップ紙でJulienに付きまとっていた若い記者が医師宅に転がっている彼の身体を発見して警察を呼ぶ大騒ぎになり、医者は収監されてJulienの身体は検死解剖を、になるのだがそれをやってしまうとJulienの魂は元に戻れなくなるので、どうするどうなる? Yvonneとの恋の行方は? って。
割と古典的な透明人間ものかしらと思っていると最後の方はらはらどきどきで、ちょっと爽快なところもあったりして、すばらしかった。René Clairだねえ。
あの医者、クスリも機械も使わずに念で出したり入れたりしているみたいだったのだが、あれはなかなかやばいのではないか。 あれ、間に合わなかったらどうなっていたのか、解剖の途中で戻ったらやっぱり痛いよね、とか。
9.27.2019
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