9.22.2019

[film] I Was a Male War Bride (1949)

15日、日曜日の午後、BFIのCary Grant特集で見ました。 原作はベルギー人のHenri Rochardによる伝記 - ”I Was an Alien Spouse of Female Military Personnel Enroute to the United States Under Public Law 271 of the Congress” ていうことは実話なのかしら?  
邦題は『僕は戦争花嫁』。

連合国軍の統治下にあったドイツで、フランス軍のオフィサー Henri (Cary Grant)が任務のためにアメリカ軍を訪れて少尉のCatherine (Ann Sheridan)に嫌味ったらしく彼女の洗濯ものを渡したり(クリーニング屋が置いていったって)、ふたりは前からいろいろあって仲悪そうなのだが、任務に向かう運転手をCatherineがやることになり、しかも適当な車がなくてあるのはサイドカー付きのバイクで、しかも米軍が運転しなければいけないのでHenriはサイドの方で、かっこ悪くて居心地悪くて、道中も喧嘩ばかりしているのだが、任務がとってもうまくいって、バイクで藁の山に突っ込んでキスしたら止まらなくなったので結婚することにする(なんだそれ)。

お話はまだ続いて、ふたりが結婚することになっても異なる国の軍人同士の結婚だからか書類だのサインだの手続きがやたら面倒で、ようやくクリアしてアメリカに戻ろう、ということになってもアメリカ軍兵士の配偶者はWar Bride - 戦争花嫁 - としてしか扱われないことがわかり、つまりWar Brideってオレのことかよ、ってなるのだが、問題なのはWar Brideのために用意された施設には男性は入れない、とこれが英国での公開タイトルの”You Can't Sleep Here” になっている。 どこにたらい回されてもこの文句で追い出されてしまうのでアっタマきたHenriとCatherineは..

“Bringing Up Baby” (1938)ではプライドから衣服までなにからなにまで身ぐるみ剥がされてしまったCary Grantは、今回設定上とはいえ、イギリス人(生まれた国)でもアメリカ人(仕事する国)でもないフランス人にされ、あげくの果てにはジェンダーまで奪われてしまってどうしろというのか、と。
Howard HawksはなんでここまでCary Grantをいじめていじめて、その自由を奪おうとするのか? - Gary CooperやHumphrey Bogartに対して、ここまでのことはしないよね?

今回もいちいちのまわりくどい窓口対応やなんだこいつ? みたいな向こうの扱いにぶち切れてぐだぐだいう奴らを皆殺しにする(「皆殺しの戦争花嫁」、とか)ことだってできたかもしれないのに、絶対そうはせず、ちょっと困ったなあ、って苦々した笑いを浮かべて曲芸やスタントをこなすみたいにひょい、って乗り越えて向こうに渡ってしまう(Catherine の方も一緒になって怒るのではなく、そっちの方に加担してしまう) 。 その機転と身の軽さ - コメディって、こういうもんだよねえ、って。

この設定が現代だったら、え〜 とか言ってもトランスしてどかしゃかじゃん! してよかったねえ、ていうハートウォーミングなかんじになってしまう(「幸せの戦争花嫁」、とか)、のかしらん。 でもそれは別にCary Grantじゃなくてもー。

で、このあと幸せになってHyde Parkに向かったの。

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