8月27日、火曜日の晩、BFIで見ました。日本公開はされていない模様。
今年の1月に97歳で亡くなられた英国人女優Muriel Pavlowさんへのトリビュートで、上映前にBFIのキュレーターから簡単なイントロがあった。
30年代の終わりのロンドン - メイフェアでオートクチュールハウスをやっているマダムAlice (Jane Hylton)がいて、彼女の意匠はクラッシィすぎてもう時代の流れにはついていけなくなっていることを彼女のすぐ下でデザインを指揮しているMartha (Jane Hylton)はしみじみ感じていて、あれこれ相手するのもうざくなってきたのでマダム(&わんわん)には地中海の方に休暇に出て貰い、その隙に好き放題やっていたら突然マダムが戻ってきて気まずくなるのだが、マダムは事情を察して引退して、ハウスはMarthaのものになる。
他方でMarthaの元でお針子のようなことをして働いているAlison (Muriel Pavlow)もMarthaがマダムに感じていたのと同様のフラストレーションを抱えていて、実際にアイデアを出しているのは自分だし、励ましてくれる同僚たちや彼との恋愛あれこれも交えつつ知恵と技術を駆使してがんばっていくの。
筋書としてはどこにでもありそうなお仕事精進ドラマ(かなり直球)なのだが、時代的には”Phantom Thread” (2017)の少し前くらい、ロンドンがまだファッションの中心にあったからありえたカーテンの奥の貴族のクチュールの世界で、大戦を前にファッションに対する意識や感覚が変わっていったこと、それがより若いデザイナーの間から立ちあがって上を押したこと、などがわかっておもしろい。この構造自体は今もそんなに変わっていないのかしらん? ファッションにお金をじゃぶじゃぶ落とせる人達を中心にまわっている変てこな世界。
というのとは別に、Jack Cardiffの撮影によるテクニカラーが浮かびあがらせる隅々までゴージャスな陰影を湛えたファッションのあれこれは溜息ものの美術品で、衣装(の色彩とひらひら)がすばらしかったテクニカラーの映画というと“The Pajama Game” (1957)なんかが思い浮かぶが、あれとはちょっと違ってつーんと揺るがない別世界。 上映35mmプリントはBFIアーカイブのが傷んで見れなかったのでPark Circusから借りてきた、現存する最後の1本かも、とのこと。
London Film Festival (LFF) の詳細が発表になり、プログラム冊子を広げてタイムテーブルに記しを付けたりしている(このあたりの時間がいちばん幸せ)。今年はリバイバルものと、Pedro CostaとCédric KahnとChristophe Honoréくらいでいいや。でもやっぱり”Marriage Story*は見たいかなあ、とか。 取れるかわかんないし、出張とか入ったらおじゃんだし。
9.02.2019
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