5.31.2019

[film] Last Stop Coney Island: The Life and Photography of Harold Feinstein (2018)

22日、水曜日の晩にCurzonのBloomsburyのドキュメンタリーのとこで見ました。

写真家のドキュメンタリー映画というと、昨年ここで見たGarry Winograndの”Garry Winogrand: All Things are Photographable” (2018)なんかがあって、これらに限らず写真家のドキュメンタリー映画のなにが素敵かって、映画館の暗闇のでっかいスクリーンで見る昔のモノクロの写真の迫力、それは映されたものが動いていく映画と同じくらいの驚きとか発見があるの。

対象となる写真家が既に亡くなっている場合は関係者の証言が中心となって、ドキュメンタリーとしては結果的に物足りない半端なものになってしまうことが多いのだが、それでも彼らが切り取った昔の風景や人々、その笑顔なんかがでっかい画面に浮かびあがるだけで、それが60分とか80分とか続いていくだけで嬉しかったりする。それが昔のConey Islandの光景だったりするとなおさらでー。

Harold Feinstein (1931-2015)は1946年、15歳のときにRolleiflexのカメラを借りて地元のConey Islandの写真を撮り始めて、この辺からEdward Steichenがいた頃のMoMA写真部門での企画展 - ”The Family of Man” – これのカタログは古典 - で注目されて、多くの街角や人々の写真を残している。 本人がカメラに向かって喋る場面もいっぱいあるのだが、よい人だったのだろうなー、くらいしか出てこない。この笑顔で、こんなふうに喋る人が、あんなふうに人々の表情や動きを、光や影をとらえていったのだなー、というのがよくわかってしみじみする。

それにしてもConey Islandの写真のすばらしいこと。見世物小屋の人たち、木製のジェットコースター、乗ってみたら凍りつく観覧車(初めて乗ったとき、死ぬかと思った)、首の弱いひとは絶対にしぬ各種遊具(割とげろげろしてる人多いし、したし)、駅前のNathan’sのホットドッグと潮の混じった匂い、ほんとに雑多でむきだしでいろいろで、でもみんな心底笑って楽しんでいる。 ほんとに素敵な場所だよねえ、ていうのを思いだした。

これと直接の関係はないのだが、昨年9月にNational Maritime Museumで”The Great British Seaside”ていう写真の展示があって、これは昔から今まで、英国各地の浜辺の光景をTony Ray-Jones, Simon Roberts, David Hurn, Martin Parrといった英国の写真家たちが撮影したのを並べたやつで、英国人にとっての浜辺って… というのがわかっておもしろくて。(カタログを見かけたら見てみてほしい)

更に更に関係ないところに逸れていくと、英国の川辺の光景については、昨年Virginia Astleyさんがすばらしい写真集を出しているので探してみてね。

英国人て、どんな天候でもどんな浜辺でも、そこになんとしても自分の生活を持ち込んで維持しようとしているみたいで、どれだけ空間があっても自分用の仕切りを作ってきちんとスーツ着て椅子に座ってお茶を飲んで、とかみんなで固まってお祈りをしていたりとか、浜辺に来たから普段のことは忘れてぱーっと、にはなかなかならないみたい。もちろんそうじゃない浜辺の楽しみ方もあるのだろうけど、写真で見ると頑なにそんなふうで、それっていかにも英国人らしいかも、って。

で、これと同じように「アメリカ」の人たちの休日の楽しみ方が典型的なかたちで現れるのがConey Islandの、Harold Feinsteinがとらえたようなあれこれだったのではないかしら、って。

でもやはりこれはConey Islandだから、ていう気がする。少し東の方にいったMontaukの浜はぜんぜん違う雰囲気で、こっちはこっちでMichael Dweckによるすばらしい写真集があったりする。

海いきたいなー (ってつまるとこそこか)

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