4.03.2019

[film] Dumbo (2019)

3月29日金曜日の晩、Picturehouse Centralで見ました。2Dで。初日だったのに割とがらがらだったかも。 ダンボなのにさ。

1919年、全米を旅してまわるMax Medici (Danny DeVito)のMediciブラザーズサーカス団にかつて曲芸馬乗りだったHolt Farrier (Colin Farrell)が第一次大戦から戻ってきて、彼は左手を失っているけど待っていた子供たち - 妹弟に迎えられる。 昔みたいに馬に乗りたいのにサーカスは財政難で馬は売られてしまっていて、頼みになりそうなのは身重の状態で手に入れた象のMrs. Jumboくらい。

やがてMrs. Jumboから異様に耳のでっかい子象が生まれて、こんな奇形が出てくるなんて、とMaxは怒るのだが、子供たちとは仲良くなって遊んでいるうちにこの子象は羽で鼻をくすぐると耳をばたばたさせて空を飛べることを知って、それを知ったMaxはうんざりしつつも演しものにしてみると新聞とかで評判になって、でも結局はへまして火事を起こしたりそんなのばかりなの。

そこにメガ興行師のV. A. Vandevere (Michael Keaton)とColette Marchant (Eva Green)が現れてみんなをサーカスごと買い取って、彼のDreamlandに連れていき、ColetteとDumboで組んだ出しもので当てようとするのだがそう簡単にはいかなくて。

予告を見たときはPaddingtonのときの数十倍きゅんとなって、あううもうこれはやばい〜  だったのに本編を見終わってみるとそんなに。 あんまし来なかったのはなんでだろうか、ていうのをずっと考えている。

Tim Burtonの世界って、グロテスクでちょっと気持ち悪いのがだんだんに馴染んできて、最後にはそんな君でも、そんな君だからこそ世の中は少しだけ明るくなるんだよ、ってほんのり電球が灯るのが基本の魅力だと思うのだが、ダンボがあまりにキュートすぎてこの枠にはまっていない気がした。

ダンボが初めて観客の前に姿を現したとき、一部のガキがきもちわるーって騒ぐのだが、ここでカチンときて、この子のどこがきもちわるいんだよケンカ売ってんのかおら、になっちゃうの。

この先もダンボをおもしろがって蔑み虐めたがる大衆と、それを利用して金儲けを企む悪 - V. A. Vandevereとダンボの保護者で理解者である子供たち&Holt&Coletteという構図になるのだが、なんかこの三者のバランスがおかしい気がする。 当時はそういう暗黒の世界だったのよ、ていうのかもしれないけど。あるいは、Tim Burtonの描いてきた世界そのものが、あまりに下衆にグロくなり、その隙間を札束ぶら下げた安っぽいキャラクターが埋め尽くすようになってしまった今の世界で効力を失ってきている、てことはないだろうか、と。

とにかく見ていて辛くなることが多くて、それは自分が簡単に見ることができる今の世の生き辛さに繋がっているような気もして、そんなの見たくない、そこにかわいいダンボを突っ込まないでよ、って。ダンボが最後幸せになるのは当然だとしても、子供たちはあの後どうなったのだろうか、とか。
このキャラクターを創ってお金をいっぱい稼いだディズニーにとって、あのラストってあれでいいの? とか。

ダンボがぎゅんぎゅん旋回するとこだけを映した90分でもよかったのに。

でもそんなでも、Eva Greenはすばらしかった。最初は彼女がダンボのママになるのかと思ったくらい魔物弱いものを救う天使。

続編はWes Anderson氏に撮ってもらいたい。

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