4.27.2019

[film] Us (2019)

24日、”Pet Sematary”の翌日の水曜日の晩にOdeonのLuxeで見ました。
筋トレをするかのように毎日がんばってホラーを見て、耐性を高めたい。なんの役にたつのかは不明だが。

Jordan Peeleの前作 - ”Get Out” (2017)は結局見にいけてなくて、これも予告を見ただけで総毛立ちで怖いようどうしよう猫も出ていないようだし、と悩んでいたのだが、評判はよいみたいなので行くことにした。

冒頭、アメリカ国内には打ち棄てられた使われていないトンネルとか地下壕とかがものすごくいっぱいあります、ていうのと、みんなで大陸の端から端まで手をつなごう、みたいな運動だかキャンペーンだかが昔のTVに映しだされている。

そんな1986年、幼いAdelaide (Madison Curry)はパパとママとSanta Cruzの浜に遊びに行って、夜に少しだけ親から離れて浜辺にあった見世物小屋のようなのに入ってみるとそこは鏡の間で、なんとか抜け出そうと焦っているとそこであるものを目撃して驚愕の表情に(凍)。

そこから今の時代になって、ふたりの子供がいるAdelaide (Lupita Nyong'o) は家族4人でSanta Cruzのビーチハウスに休暇に来て、幼少期の記憶があるのでAdelaideは少し落ち着かない。で、夜になると家の外に家族っぽい4人組のシルエットが浮かんでいて、おーいって声を掛けても反応がなくて、警察に電話しても時間が掛かりそうで、夫のGabe (Winston Duke)がバットを持っておまえらいいかげんにせえよ、って向かっていくと…  (ここから先は書かないほうが。書いちゃうけど)

夜中、家の外でだれかが動かないで背を向けて立っている、それだけで怖いのに、それが突然無言で切りつけたり襲ってきたりして、しかもそれが自分と同じ顔と背格好だったら、とか。

実際にはそんなに起こりそうではない(もちろんその保証はない)けど、想定してみれば気味が悪くて嫌なかんじのやつとしてドッペルゲンガー、というのがあって、それが自分を殺しにきたら、とか、ドッペルゲンガーが自分(me)との間だけでなく自分が所属する集団(us)とか社会のレベルで起こったら、とか。宇宙人とかゾンビとか吸血鬼よりはありそうなかんじがする。だって社会ってそもそもが-。

彼らはみんな揃いの赤い服を着ていて無言かちゃんと喋れないかで、つまり意思疎通がほぼできない状態で、でも目は憎悪と虚無に溢れててでっかい植木屋ハサミを握りしめててそれで − 。
家族集団に纏わる悪夢っていうのを煮詰めて具体的に現実的に描くとこんなふうになるかも。後半はわけわかんないながらもハラを決めた一家が戦うことを決意してドンパチ – じゃないぐさぐさの斬りあいに入るので怖さはやや薄れるものの、なんでハサミなんだよ痛いだろとか。

家族の必死の戦いを描くとどうしても親が子を守って絶叫(涙)、みたいのになりがちだが、ここの子達はそれぞれ勝手に動いて自分のやり方で戦っていくところが頼もしくて、そこはよかったかも。

個のドッペルゲンガーはわかりやすいのだが、集団社会のドッペルゲンガー、みたいのが起こると仮定したとき、それはいったいどこのどんな社会の写し絵になるのか、それがどうして殺し合いの抗争に向かうのか、というのはおそらくこの映画の批評性、テーマのひとつとしてあって、その起点を80年代の西海岸に置いているのもいろいろ考えさせられる。 こういう点で、そこらのB級ホラーアクションより風呂敷はでっかい気がした。それがどうした、ではあるけど。

返り血を浴びてぼろぼろになりながら激闘するLupita Nyong'oさんはすごいのだが、近所の金持ち自堕落夫婦として出て来るElisabeth Mossさんもかっこいい(ドッペルした方も)。彼女のドッペルゲンガーものというと”The One I Love” (2014)ていう傑作もあったのよね。

やらないだろうけど続編とかあったらおもしろいな。あの集団のその後とか。

あと、Alexa(という名前にはしていないが)に警察を呼んで、と命令したときの挙動が爆笑で。

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