14日、日曜日の昼間、Picturehouse Centralで見ました。
Carol Morley監督 - Patricia Clarkson主演によるノワール。原作はMartin Amisの”Night Train” (1997) – 未読。 ポスターを見てSFサスペンスホラーみたいなやつだと思って行ったら違った…
New Orleansの天文台で「あなたが今いる場所を説明することはできますか?」とか「見るだけで非常に多くのことを語ることができます」といいながら宇宙空間のガイドをしている若い天文学者のJennifer (Mamie Gummer)がいて、次の場面では彼女は床に倒れて死んでいて、アル中で孤独な殺人課の刑事のMike Hoolihan (Patricia Clarkson)が捜査にあたることになる。
現場に残されていたスカーフとか保湿クリームの瓶とかいくつかの手掛かりはあるようだし、容疑者はいっぱいいてJenniferの恋人だったDuncan (Jonathan Majors)とか天文台の博士(Toby Jones)とか彼女の実家 – ベトナム退役軍人で地元財界の大御所の父(James Caan) - すぐに沸騰する - も母(Jacki Weaver) - なんでも受け容れる - も双子の兄たちも全員がどこかしら怪しいし、昔にこの土地で起こった未解決の連続殺人事件 - the .38 Caliber Killer -と似た手口であることも見えてくるし、更には本人による自殺の可能性がないとも言い切れない。あるいはそれらのミックスであったとしてもおかしくない。流れてくる音楽はBrenda Leeの”I’ll Be Seeing You”だったり。
そういうあれもこれもありそうなところに被害者の専門領域だったブラックホールとかパラレルユニバースとかシュレディンガーの猫といった理系のふりかけがあなたがふだんぜったいそうだと思って見ているものは実はそうではないのよ、とか半可通のふりしてかき混ぜて吹っかけてくるので星空を見上げるしかない。
New Orleansの湿った夜の暗さを背景に浮かびあがる青や赤の色や光が印象的に使われたノワールで、かんじとしてはDavid Lynch – “Mulholland Drive” (2001) - だったりNicolas Roeg – “Don't Look Now” (1973) - だったりAlan Parker - “Angel Heart” (1987) – だったりする出口の見えない迷宮世界なのだが、そこをたったひとりで突っ切っていくPatricia Clarksonがひたすらかっこよい - 幼い頃の記憶を失っている彼女を走らせる事情とか理由とか動機がちっとも見えてこないとこも含めて、なにかしらどこかしら歪んでしまった世界はすぐそこに。
という具合なので、足下の謎解きミステリーというよりはそれらを包みこんでいる宇宙の謎とか、タイトル通り、そもそもなんで突然こんなことが.. の要素の方が大きくクローズアップされてきて、それでよいのか、と人は言うのかもしれないが、ここの世界に関してはそういうのがあってもおかしくないかも、という説得力が十分にある気がするのでよいの。
それをひとりで引き寄せているのはMike - Patricia Clarksonで、彼女はひょっとしたら宇宙から落ちてきたなんかなのかも、くらいの異者感と重力があるし、そうするとこの事件そのものもどこか別の宇宙で起こったなにかなのかも、くらいに見えてくる。 そうなったときに、では善悪とか正義は .. というのも宙に浮かんできて、たぶん主題はそっちの方かしら。
音楽はClint Mansellで、これもよくてー。
4.25.2019
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