4.26.2019

[film] The Shining (1980)

17日、水曜日の晩にBFIで見ました。

BFIでは4月から5月にかけてStanley Kubrickの特集 - ”Kubrick”をやっていて、リストアされた”A Clockwork Orange” (1971) なんかはリバイバル公開されている。  あと今週末からDesign Museumで”Stanley Kubrick: The Exhibition”ていうのも始まる。

特集の予告もファンファーレがじゃんじゃか鳴って威勢よく華々しくて、スペクタクル!なかんじ満載なのだが、そんなに見なきゃ行かなきゃ、にならないのはなんでかしら。
そんなすごい映画ファンでもない(のよ実は)からかしら。

なので特集で見たのはまだこれと”Lolita” (1962)くらいで、他にも見たいのはいっぱいあるのでそっちの方に行ったりしている。

この“The Shining”は括弧付きのextended versionとあって、調べたらEuropeanリリース版は119分で、今回のは144分のAmericanリリース版らしい。プリントは上映回(だいたい一日一回上映)によってデジタルのと35mmのがあって、35mmのにしたのだが、一番大きいシアターがほぼ満席になっていた。

“The Shining”は日本の公開時(80年?81年)にまだあるか知らんけど千葉劇場の、まだあるか知らんけど2階の一番前で足をぶらぶらさせながらみた。たぶんいちばん最初に見たホラー映画で、ものすごくおっかなかったので今でもホラーはなかなか無理だったりする。 原作は未読。

それでも冒頭の空撮シーンはすごく好きで、今回行ったのもここを見たかったから、くらい。
山間の道路を車が走っているのを後方上空から撮っているだけなのだがCool、としか言いようがないの。

で、車は山奥のOverlook Hotelていうでっかいロッジみたいなホテルに着いて、そこにアル中気味の作家Jack (Jack Nicholson)、妻のWendy (Shelley Duvall)、息子のDanny (Danny Lloyd) – Tonyっていう友達が内側にいる – の一家が冬の間は雪で閉ざされてしまうここで過ごすことになって、Jackは執筆に専念できるから、と始めは乗り気なのだが、Dannyは屋内のところどころで変なものを見たりするようになって、Jackもだんだんにおかしくなっていって。

その先はみんな知っているし有名な場面ばかりだし。

広義にはお化け屋敷(ホテル)モノの恐怖、ということに尽きるのかもだけど、べつに建物が襲ってくるわけではなくて、廊下とかカーペットの模様とかエレベーターとか少し開いたドアとかボールルームとかパントリーとか、ふつうぽいのにいちいち怖くて、そこに突っ立って薄ら笑いをしている知らない人だか幽霊だかゾンビだかが気持ち悪くて、最悪なのはそいつらが気持ちわるいのを見せたりこっちにおいでよ、って誘ってくることで、更に地獄なのがそいつら(単体なのか複数なのか)がJackに乗り移るだかなんかして、猛り狂った形相のJackがおらーって襲ってくることなの。 どっちを向いてもぜんぶこわい。

それらに対抗するのがWendyの叫び声と包丁、Dannyと交信できるらしい老人(Scatman Crothers)くらいで、でも基本は逃げるしかなくて、なんで逃げるかというと、おっかない顔とか声で捕まえようとするから、捕まったらまず殺されるか食べられるか、ていうのがわかるから。 最初の方の不気味なあれこれが、過去の死や殺人を暗示するものに変わっていき、やがてそれが死の恐怖そのものになって視界を塞いでくる、怖いのはその過程で、最後にJackから逃げまわるところは実はそんなには怖くないかも。逃げるだけだから。 そういう点では、冒頭の空を舞うところ、三輪車で廊下を移動するDannyの背中をふわーって追うとことから始まっているんだなあ、って。(関係ないけど、最近のホラー映画の怖いやつがものすごいスピードでがちゃがちゃ動くのってなんなのかしら)

これはStephen Kingの原作に関わるところなのかもだけど、邪悪な力の方に取りこまれる/取りこまれないの間の引っ張り合いってなんで、どうやって成立するのだろう? なんで邪悪な方には行っていけない、ってわかるのかしら。向こう側に行ってはいけない・行っちゃえ、ていう判断と行動を分けるものってなんなのかって。愛か憎悪か? そこにドラマとかホラーが生まれる段差があるのね。

音楽のLigeti、Bartók、Pendereckiはすごいなー。今だったらLiturgy、Lustmord、灰野敬二あたりかなー。

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