4.04.2019

[film] At Eternity's Gate (2018)

31日、日曜日の午後、CurzonのBloomsburyで見ました。

Julian Schnabelが監督したVincent Van Goghの評伝映画。丁度Tate Britainでも”Van Gogh and Britain”ていう展示が始まったこともあり、盛りあがりそうだし見ておこうか、くらい。

冒頭からVincent Van Gogh (Willem Dafoe)は絵はいっぱい描いているものの暮らしは困窮していて、理解者は弟Theo (Rupert Friend)くらいで、でも描く意思は強くて、丁度出会ったPaul Gauguin (Oscar Isaac)にも勇気づけられてがんばるのだが、周囲の風当たりは強くて精神病院に入れられたりいろいろされて、最後には…

苦難のアーティストの魂の道行きを綴る、のとVan Goghが彼の絵画に求めていった色や光はどういうものだったのか、を明らかにしようとしていて、タイトルは後者のほうに寄ったもの、だろうか。
彼の見た地獄がどんなものだったかはTheoへの手紙等を読めばじゅうぶん窺えるものの、でもそれは彼の地獄であり苦悩だったのだ、としか言いようがなくて、わかりようがないのであとは絵をじっと見るだけ。

だと思っているので、あまりよくわからない。 画家Julian Schnabelが画家Van Goghの描いたものや彼の生涯をこう捉えた、のならそうか、と思うけどこれを見たからといってVan Goghの絵を見る見方や視点が変わることはないかんじ(もちろん、変わるひとがいてもいいよ。邦題みたいに「未来」をみるのも自由よ)

なので、どちらかというと俳優たちのほうを。Willem Dafoe はすばらしいし、Paul Gauguin (Oscar Isaac)もDr. Paul Gachet (Mathieu Amalric)もPriest (Mads Mikkelsen)もみんなよい。

個人的な昔話になるのだがJulian Schnabelってなんか気にくわなくて。
むかーし、2010年にJonas MekasのAnthology Film Archivesのベネフットイベント - タイトルは”Return to the Pleasure Dome” - がNYのMaritime Hotelであったのね。今にして思えば豪勢なメンツで、Sonic YouthがライブしてMobyがDJして、Philip Seymour Hoffmanのスピーチの後にLou Reedがライブして、ライブの締めはTechnicolor SkullていうKenneth AngerとBrian Butlerのユニットで。(10年前はまだみんな元気だったんだなー)

ただ自分を含む一般の客は2階のバー横のすごい狭いとこに押し込まれて、立って体を伸ばさないとステージなんかぜんぜん見えなくて、これでチケットは$99だったのでみんなでぶうたれて騒いでいたらスピーチの合間に登場したJulian Schnabelが2階で騒いでるごろつき共黙れ、って。すんごく偉そうに。

この目線てVan Goghを追い詰めていった一般市民とか裕福な連中のそれと同じよね、とか思いだして、80年代のアートバブルで出てきた彼みたいなアーティストと、同じ頃にバカみたいな金額で「ひまわり」を購入した日本の保険会社(だっけ?)が重なってしまうのだった。 どっちにしてもかわいそうなのはVan Gogh。

自分にとってのベストVan Gogh 映画はAgnès Vardaの『冬の旅』(1985)だなあ。
彼女の追悼も書けていないけど、これ見て再見したくなった。

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