10.24.2018

[film] Life Itself (2018)

NYから戻った日、15日の晩、LFFのEmbankment Garden Theaterで見ました。この日はこれが3本目でくらくらしていたけど。

上映前に監督のDan Fogelmanと Olivia Cookeさんの舞台挨拶があった。監督は“Tangled” (2010)、 “Crazy, Stupid, Love” (2011)を書いた人(あと、”Me and Earl and the Dying Girl” (2015)の製作とか)で、わたしは週末の昼にTVで”Tangled” - 『塔の上のラプンツェル』 - をやっていたりするとつい見ちゃって、もう10回以上は見たりしているので、それならこれもしょうがないか、と見ることにした。

Olivia Cookeさんは最初のスクリプトを読んで風呂場でびーびー泣いちゃってあたしぜったいこれに出る、って絶叫したそうで、なんか彼女らしいねえ。

主催者側からはラストにはティッシュのご用意を、って言われて、確かに泣いてしまうのだが、全般のレビューは芳しくなくて、でもわたしはなんか好きで、嫌いになれない。あの“Crazy, Stupid, Love”と同じく、なんでもぶちこもうとして変に歪になってしまったようなところも含めて。
全体で5章に分かれていて、3世代にまたがる親子、家族のお話し。

第一章は、妻がいなくなって浮浪者みたいになって暴れまくるWill Dempsey (Oscar Isaac)とセラピストのCait (Annette Bening)とのやりとりが中心で、Willが妻のAbby (Olivia Wilde)と出会った経緯とか彼女に何が起こったのか、とかがWillが頭の中で組み立てたストーリー – ややこしいのだが、この部分はSamuel L. Jacksonがナレーションしたり、要するにWillを向こう側の世界のひとにしてしまうくらいAbbyへの愛は深く、その喪失は重いのだと。 そこではAbbyが7歳で両親を自動車事故で失って、彼女ひとりが生き残って、引き取られた先の叔父がやらしい奴だったので銃をぶっぱなしたり、Bob Dylanの熱狂的な信者であること、大学でLifeに関するテーゼを纏めようとしていたことなどが語られる。

第二章は、WillとAbbyの娘 – でも両親とは会ったことがない - Dylan Dempsey (Olivia Cooke)が主人公で、Willの親に育てられた彼女は成長してちょっと不良になってバンドで歌ったりしてて(なかなかよいの)、でもしょっちゅうぶちきれて周囲と衝突してばかり、道端でひとり泣いていたりする。

第三章で舞台はスペインに飛んで、そこでオリーブ農場を経営しているVincent (Antonio Banderas)がいて、ある日従業員のJavier (Sergio Peris-Mencheta)を呼んで、彼に自身と家族の身の上話をして、義兄弟のような契を結んで、やがてJavierはガールフレンドのIsabel (Laia Costa)と結婚して、息子のRodrigoが生まれてVincentは彼を自分の子のようにかわいがって十分な教育を与えて、家族でのNY旅行にも行かせるのだが、そこである事故を目の当たりにしたRodrigoは様子が変になって、そのケアもVincentは手厚くしたりするので、そういうのがおもしろくないJavierはひとり家を出ていってしまう。

第四章は、成長してNYの大学に通うRodrigo (Alex Monner)が主人公で、ガールフレンドもできたりしているのだが、他方で故郷には癌と闘病を続ける母がいて、自分のこれからと母や家族のことで揺れまくっている。

こんな具合に、ものすごくいろんな人達がぶつかったりすれ違ったりを(偶発の事故も含めて)とめどなく繰り返していて、そのありようを”Life Itself”とか言われても、Dylanの音楽に託されても、そりゃそうかもね、くらいしか返せないのだが、でも、誰もが自分にかつて起こったことのように振り返ったり思い至らせたりしてしまう、そうさせる渦のようなものはあるかも。 でも他方で、詰めこみすぎて全体のバランスが変になっちゃっているとこもあるかも。

かんじとしては悪人とか悪意のないPedro Almodóvar、とか、『ガープの世界』とか、思わせぶりなとこを排除した(そしたら何が残るのか?)Terrence Malickとか。

Oscar IsaacとOlivia Wildeのカップルは本当に素敵なのと、スペインでのキャストもみんなとてもよいので、公開されてほしいなー。

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