10.17.2018

[film] Dragonwyck (1946)

15日、月曜の朝にNYから戻ってきて、その日はもう会社休んで、いちんち寝る予定にしていたのだが、LFFのほうにうずうず行きたくなって結局その日は3本見て、翌朝は出張でドイツに飛んで、さっき戻ってきた。 今晩のLFF… 行きたいけどもういいかげん体が..

NY - JFKに着いたのが12日 - 金曜日の11時半くらいで、そこから車でMoMAに直行して見ました。
滞在54時間だけど、それでも1本くらいは映画見たいな、と。

一旦ホテルに入ってから移動というのも考えたけど、13:30からの上映なので微妙だったし。
で、例によって車に酔ってMoMAに着いたらへろへろで、何かお腹に入れないと、とMoMAの中に入って(それにしても、$25の入場料ってどこでも普通になっちゃったねえ)久々にここのCafé 2でピザ食べて - 相変わらずおいしい - 少し落ち着いた。

MoMAのFilm部門がやっているマチネ - 昼間上映のシリーズって年寄り向けのクラシック(泣かせる系)が多いのだが、内容は昔から充実していて、ちょうどVincent Priceの特集が始まったところ、これはJoseph L. Mankiewiczの監督デビュー作でもあるし、ハロウィンも間近だし、見ることにしたの。

映像の展示コーナーでは丁度特集上映が終わったばかりのJerry Lewisの絵コンテとかが沢山並んでいて、これの上映はでっかい方のシアターではない、小さいScreen 2の方で、上映前には扉のとこにいるおばちゃんが「はーい携帯消して~ 食べ物飲み物禁止~ 居眠りも禁止ね~」ってでっかい声で怒鳴るのでみんな目を覚まして座り直す。(上映前の注意なんてこれでいいのよね)

この映画の時点から100年前の1840年代、ConnecticutのGreenwichに暮らすMiranda (Gene Tierney)のところに母の遠い親戚で、ハドソン川の上の方の崖に聳える貴族のお屋敷Dragonwyck Manorに暮らすNicholas Van Ryn (Vincent Price)からしばらく滞在しないかって招待の手紙が来て、夢見るMirandaは行ってみたいってせがんで、厳しい父(Walter Huston)もしぶしぶ承諾して、川を上って行ってみると、Nicholasはなんかおっかないし、メイドは不愛想だし、彼の病弱で寝たきりの妻も不気味だし、一人娘は無表情にあたしは愛されていないっていうし、パーティに来る客はいじわるなのばかりだし、明らかに変で異様で、更には彼と彼が所有している一帯の土地で働く農民との間は土地の権利を巡って一触即発状態で、かつて憧れていたのとはぜんぜん様子が違う。

やがて彼の妻が亡くなって、なんかもういいやと疲れて実家に戻ったMirandaのところにNicholasが訪ねてきて父親にMirandaとの結婚を申し入れ、お話しとしては全く悪くはないし自分が少しは変えることもできるかも、と受けて、彼女は再びDradonwyckに戻る。

でもその後も不吉としか言いようのない不幸は続いて、男の子が生まれても心臓弁膜症ですぐに亡くなってしまったり、農民との諍いもあってNicholasは疲れて不機嫌にどす黒くなっていって、お先真っ暗になってきたMirandaの運命や如何に… になるの。

Dragonwyckという場所・建物にまつわる怪異譚みたいのかと思っていたら、それだけではない(なにが原因なのかどちらが先だか不明だが)Nicholasの妄執があり、彼の妻の不審死に関わるミステリーがあり、土地の権利に関わる争議とかもあって、それらに巻き込まれたMirandaと彼女を助ける医師のJeff (Glenn Langan)とか、最後は西部劇みたいになるし、ものすごく重層の拡がりがあっておもしろい。農地の争議の件は1846年にNY州で起こった史実ともリンクしているのだそう。

The New Yorker誌のRichard Brodyさんはこの辺を“mix of the macabre and the sociological plays like a blend of Poe and Tocqueville”と書いていてなるほどー、としか言いようがない。

そしてVincent Priceはひたすらでっかくて制御不能で不気味で、あんなにお屋敷のダークな威容にぴったりはまる人もいないのではないかと思われた。今だとAdam Driverあたりになるのかなー。

あーおもしろかった、って荷物を拾って地下鉄に下りてホテルに向かった。
まだまだ書くこといっぱいある。ありすぎ。

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