9月23日、日曜日の晩、BFIで見ました。
なぜか4Kリストア版をリバイバル公開していて、Iは2週間くらいやってて、IIとIIIも数回上映される。
こんなのも見たことないの?と言われそうだが、見たことなかった。長いし、血みどろだっていうし。 公開されたときは小学生で大人の見るものだって言われたし、大きくなってから名作とか必見とか散々言われたけど、馬の首とかハチの巣とか、聞いただけで怖かったしヤクザの抗争なんて興味ないもん、だったし。その後3作を束ねたVHSとかDVDの箱が出ても、見るならでっかい画面がいいしさ、とか先延ばししてて、要はやるきがなかった、ということで。
最初にVito “Don” Corleone (Marlon Brando)が執務室のようなところで彼の力を求めてやってくる人の陳情みたいのを黙って聞いてて、そこから娘のConnie (Talia Shire)の結婚を祝うパーティになって、ここに親族 - 長男のSonny (James Caan)、海軍から戻ったばかりの末っ子Michael (Al Pacino)とか - がいて、周りを政財界を含む怪しげな人たちがいっぱい囲んでいて、陰で写真でも撮ろうもんならカメラごと潰されて、そういう密室とソーシャルでの彼らの重みとか陣容がざっと示される。
そこから先は長いのでいちいち書きませんけど、別のファミリーからの新しい取引への協力要請を断ったDonが狙撃されて入院先の病院でも狙われて、この辺から5つのファミリーを巻きこむ血みどろの抗争に入っていって、Michaelは大物ふたりをブロンクスのレストランで撃ち殺してシシリーに飛んで身を潜め、SonnyはVegasでハチの巣にされて、シシリーで現地の娘と結婚したMichaelは花嫁を車ごと吹っ飛ばされて、米国に戻ってきて跡目を継ぐべく前から付きあっていたKay (Diane Keaton)と結婚して子供ができて、孫と遊んでいるときにDonは亡くなって、そのお葬式とConnieの子供の洗礼式のあと、Michaelは邪魔者・裏切り者をざーっときれいにお掃除して、ファミリーの長 – 新たなDon - としてその椅子に座るのだが、おたくの旦那はギャングの大ボスだから、って告げられたKayのがちょーん、で終わるの。 これが1945年から55年にかけての家族のお話し。
ファミリーを裏で表で束ねるThe Godfatherの仕事とはこういうもので、その仕事が相手にしている奴らはこんなので、そのDonの交替というのは例えばこんなふうにして起こる、って。
ファミリーの外側に対して、やられたりやりかえしたりのあれこれは淡々と - 掟だの絆だの仁義だのくどくど言わずに - お仕事お仕事、って遠くからドライに映しだされて、ファミリーの内のごたごたしたせめぎ合いはゆっくりじっとり、でもそれぞれが何を思っているのかは親兄弟の間でも決して語られない。その不明瞭なところはその後に起こっていく出来事で全て説明されて(含.死人に口なし)、そのバランスというか廻し方がちょうどよいのかとても軽い印象を受けた。 「黒幕」という言葉が喚起する闇のイメージは幕の内側に入ってしまえばごくふつうの明るさで見える - それだけのこと。
この描き方って、「地獄の黙示録」(1979) の戦争のそれとも似ている気がして、あの映画で戦争の「狂気」として語られていたことって、カーツやキルゴアのそれぞれの言葉として発せられたわけではなく、彼らのなにかしらの指示指図がもたらした圧倒的な戦争のランドスケープ・惨状として、オペラ的なスペクタクルとして目の前に広げられるものだったような。
ということで、びくびくしながら見ていた、というのもあるけど177分、あっという間だった。
Al Pacinoの得体のしれない不気味なかんじ、突然のブチ切れ爆発芸はこのころからあったのね。シシリーで一目見ただけでいきなり結婚申し込むとか。彼の星座はなんなのかしら?
出て来る食べ物がどれもおいしそう、ていうかぜったいあれおいしいし、でもあんなおいしそうなの食べても殺し合いに行っちゃうんだよね。
あと、いろんな映画やTVで散々パロディにされているののおおもとを確認できたのは嬉しかったし、音楽もずっと耳に残って気持ちよいので流れるままにしておいたし、これからは映画館で見たから、って自慢できるし。
90年代初めにNYでアパート探し始めた頃、日本人向けに安全マップみたいのが配られてて、この近所はマフィアが治めているので比較的安全、とか書いてあったりしたのだが、あれってまだあるのかしら? あってもなくてもどこにでも行くようになってしまったけど。
これの一週間後の日曜日にPart IIを見て、更にその一週間後(今度の日曜日)にPart IIIを見る(予定)。
10.04.2018
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