12.12.2016

[music] Ryan Adams

12月9日の金曜日、いつものように新木場なんてかんべんして、と泣きながら7時ちょうどに小走りで滑りこんで、みました。

彼のライブを最後にみたのは”Rock n Roll”を出した直後(2003年...  13年前て… )くらいで、やたらきんきんぶっとんでいて面白かった記憶があるが、その後の彼の変遷を追っていってもとてもおもしろいし外れないにきまってるし、新譜リリース前の新バンド編成だというし。

バックはキーボードとドラムスとギター1、ベース1で、ものすごく普通の、よい音を聴かせるための編成で、それは彼の音楽がそもそもそうで、ここ数作の、奇をてらわずにソングライティングとアレンジに注力して、売れているんだかいないんだかわからないが、とにかくすばらしい音楽を作ってリリースして歌ってそれらを繰り返すことに関して、止まらないことに関してはNeil Youngくらいのレベルまで行っていると、強く思っている。

そういうわけで、ステージに派手な演出やライティングがあったりバックに変に目立つひとがいたりすることの一切ない、遠くからだと彼の表情すらはっきりうかがうことができない、彼から唯一注文がでたのは最後のほうで、お願いだからカメラのフラッシュ焚かないでほしい、という慎ましいのがあったくらいの地味な地味な流れがあるのみ、音もボトムはバスドラのゆったりとしたキックを中心に深く濃い青緑(色でいうとたぶんこう)の澱みの壁ができていて、そこに2台のギターがじゃりじゃりと切りこんで、その奥で時折力強く刃のように魚の背のようにギターが蠢き閃く、そんなふうで、いったんこの深みに耳をはめてしまうと、あとはひたすら気持ちよいばかりで抜けられず立ちあがれず涎をたらすしかないの。

一曲目からこないだ発表されたばかりの新曲 - ”Do You Still Love Me?”で、他にも新譜からの新曲は結構あって、"New York, New York"も"Come Pick Me Up"もやらず、あとはCardinalsとの曲も多くて、たぶん新バンドでの編成ていうのを意識したのだろうが、でもそもそも盛りあがって一緒に歌ったり踊ったりする系の音ではないし、突っ立ってぼーっと聴いているだけで滋味がしみて、あったかくなる、そういうやつでした。 
( でも”SYLVIA PLATH"は聴きたかったなー。 “1989”からも1曲くらいは聴きたかったなー )

とくにすばらしかったのは終盤の"I Love You But I Don't Know What To Say"〜 "Cold Roses" 〜 "When the Stars Go Blue" 〜 "Wonderwall" の流れだろうか。 このひとの"Wanderwall"は何度聴いてもOasisのよかだんぜんよいとおもう。

(お空にお願いしたとおり)ミラーボールの星がぐるぐる瞬いてまわる"When the Stars Go Blue"を聴けたのでそれだけで十分で、天井を見あげて今年の締めはこれでいいんだ、になった。

本編約90分、アンコール1回2曲。 理想的な映画の長さとおなじくらい - 見終わったあとでああ夢のような時間だったわ、てしみじみ思えるような、そういう経験がそこにはあったの。

今年のライブはこれでもう終わりだろうなー(嘆)。

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