4日の日曜日の昼、日比谷でみました。
邦題は例によってあれだし(「マイ・ベスト・フレンド」?)、友情ものも難病ものもタスキ掛けで泣かそうとしてくるようだし、ふだんならぜええったい見ないようなやつなのだが、Drew Barrymoreさんが出ているので見る。 彼女のインスタとか見てると、もう女優やらなくなっちゃうんじゃないか、て思ったりして、そういうのを考えただけで、頭ぶんぶんして見ておかなきゃ、になってしまうのだった。
で、実際、Drewのとんでもなさを目の当りにする。リアルな不機嫌をまき散らすことができる女優さんはいっぱいいるさっこん、彼女みたいのはそういないんだから。
冒頭、お産のヤマがきてひとり絶叫してもがきまくるJess(Drew Barrymore)に助産婦さんが誰か会いたいひとはいる? て聞いてJessは、”Milly…”って言って、そこから回想にはいる。
JessとMilly(Toni Collette)はJessがアメリカから転校してきた子供の頃からずっと一緒の親友同士で、大きくなってMillyは頭かるそーなパンク寄りミュージシャンと子供ができて結婚して、Jessはガテン系の採掘熊男と結婚して、でも子供はできなくて、そんなある日、Millyが乳ガンの宣告を受けて、化学療法とかをはじめることになって、最初のうちは治ることだってあるし、と家族でがんばるのだが結果はよいほうには転ばず、他方で不妊治療をしていたJessには子供ができて、でもMillyのこともあるから言えないままで。
豪快でエモまるだしでなんでもすぐ顔と言葉に出してしまうビッチ系のMillyと、そんなに強いわけでもないのにMillyが攻めまくるもんだからなんでも図太く受けとめざるを得ない聖母系のJessとのそれぞれの一大事を巡るやりとり - このへんはコメディて言ってよいと思う - がスリリングでおもしろくて、でも終盤の絶対にくるとわかっている別れのところはきついけど黙って泣くしかないの。
しかしまあ、Drewの女優としての懐のでっかさ、というかとんでもなさときたら。こんなの、いくらでもべったべたの泣きまみれ坩堝に落とすことだって簡単だろうに、彼女は決してそうさせない。 親友の体をぼろぼろにしていくがん細胞を見つめつつ、自分の体内に現れた自分のとは異なる細胞の塊を見据え、そのどちらにも等しく暖かい眼差しを注いで、やってくるお別れにはなにもかも解った顔をして、でもなにもわかっちゃいないんだ、ていう不安で爆発しそうになって、でも最後の最後まで泣かない。
Jessの動じないかんじは、結果的にはああするしかない、というものであると同時に、その内側でものすごいこんがらかった葛藤の毛玉を抱え込んでいて、ふたりが抱擁するとそれがポケットからぽろぽろこぼれてくる。 彼女はMillyのために泣くんじゃないし自分のために泣くのでもなくて、取り返せない、戻ってこないなにかのために泣くんじゃなくて - “Miss You Already”だから - ふたりが一緒にいるいまのここ、その瞬間のためだけに泣いてて、そんな紙一重の演技ができるのは彼女だけなんだよ。
酔っ払ってやけくそになったMillyがJessと一緒に「嵐が丘」のHaworthに行くぞぉ!って夜中にタクシー捕まえてぶっとばして、ラジオから流れてきたR.E.M.の”Losing My Religion"を運転手も入れて肩を組んで歌うとことか、たまんないの。 この歌がどんな状況のなかから出てきたどういう歌か、を思うと更になんか… (泣) 最初に聴いたときはあーあR.E.M.もつまんなくなっちゃったなーて散々ぶうぶう言ったものだが、いまはしみじみいい曲だなあっておもって、”Out of Time”の25th anniversary盤を買おうかどうしようかと。
あと、Toni Colletteさんもあたりまえのようにうまい。のだがとにかく、顔演技がすごすぎて。
物語としては、Jessのお産をSkype経由で見守った夫の乗る荒波のむこうの石油採掘船も悪天候でやられちゃって、Jessはひとりぼっちに … というのもありだったのではないか。 そしたらNicholas Sparksになっちゃうか。
12.13.2016
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