11.24.2016

[film] Everybody Wants Some!! (2016)

シアトルから戻った翌日の土曜日 ー 12日の昼、新宿でみました。
そういえば、オースティンて”Slacker”の舞台だったのよね、とあそこから戻ってきて思いだした。

ものすごくおもしろい、て断言してよいものかどうか、最近の子供たちが見たらちょっと不真面目すぎやしないか、ていうかもしれないし、でも文句なしであることは動かしようがない。さいこーにおもしろいんだから。

野球の推薦枠で大学に入って、寮不足なので普通の住宅を共用の寮として買いあげて与えられている野球部員の巣にJake(Blake Jenner)がレコードとか一式抱えて越してきて、その木曜日の午後から学校が始まる月曜の朝までの3日とちょっとの時間をリンクレイター得意の時間縛り、イベント/語りドリブン(逆行・振り返り不可)で描く117分間の魔法。

Jakeが同居するのは体育会野球部の連中で全米から優秀な野球野郎が集められているところなので、みんながみんな自分が一番強い偉いと思いこんでいて負けず嫌いで、酒でも女でもスポーツでも自分を気持ちよくしてくれるもんはなんでもOKで、周囲も自分にそうしてくれて当然だと思っていて、要するに鼻持ちならねえ能天気おお馬鹿野郎ばかりが掃き溜まっている。

しかも時代はみんな反省という言葉を知らない80年代なので、もう底なしにどうしようもない。
Day1でげろげろ、Day2でげろげろげろ、Day3でげろげろげろげろー。 でもへっちゃらなの。
なんでそんなだったのか、だれも説明できない。 だれも反省してないから。 More - More - の生理現象たれながしみたいなところで生きていたから。

基本は彼らのねぐらであるぼろい一軒屋とそこから先のバーとかディスコとかカントリーのところかパンクのとことか、を欲望のままに彷徨いてどんちゃん騒ぎして戻ってきてばったん、みたいなそういう3日間なのだが、それはひたすら「やり残したこと」を探しまわる取り憑かれたような旅で、とにかくなんにも起こってない、けど全てが起こっている、起こり続けている、そういう時間がいろんなところで鳴り止まない音楽と共に移ろっていく。 それを見るわれわれはそういう時間がどれだけかけがえのないものかを知っている。 そして映画のなかのEverybodyはそんなのどうでもいいと猿みたいにきーきーやっているばかり。

ふつうだったらメインでもおかしくない野球のシーンは自主トレの練習試合で少し出てくるくらい、あとはJakeがぽーっとなった女の子Beverly(Zoey Deutch)に詩を書いて送って彼女の部屋に行って、でもそれらも一筆書きの伸びていく一本の線の結び目でしかなくて、でもそれはひたすらずっと伸びていくのだよ、って。 それは"Boyhood"のラストから繋がる光景なのかもしれないし、向こうからえんえんやってくる"Before"の予兆 - "Before"はどんなものの"Before"でもありうるのだし。

で、あーあ、ってでっかい溜息をつく。何に対してなのか、考えたくねえや、っておもう。
でももういっかい見たい。 ここにはドラマというより、なんかとんでもなくしょうもないものが埋まっている気がする。

音楽はいろんなのが絶妙のタイミングと音量で流れていって、そのどの粒も見事に輝いていてよいの。
これが90年代に入ると少しトーンが変わってグランジの泥沼になっちゃうのかな、とか。


Beverly役のZoey DeutchはLea ThompsonとHoward Deutchの娘さんで、つまりは”Some Kind of Wonderful” (1987) に繋がるんだよ(タイトルもどことなく - )。 これがどんなにすばらしい映画かしってる?
あとねえ、ママのLea Thompsonが出た”Howard the Duck” (1986)での役名がBeverlyっていうんだよ。 これもまたすばらしいやつなんだよ。アヒルだけど。

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