7.12.2016

[theatre] Man and Superman

3日、日曜日の午前、六本木でみました。
National Theatre Liveの『人と超人』。230分あっというま。

おねがい:特別料金の3000円を3500円にしても構わないから、ゴミ以下としか言いようがない宣伝と予告をOFFにしてもらえないだろうか。頭痛と吐き気と悪寒がいっぺんにきて最悪で惨めすぎる。

バーナード・ショーの1903年の戯曲。
ホワイトフィールド卿が亡くなって、残された娘アンの後見人となった金持ち頑固じじいのラムズデン(Nicholas le Prevost)とジョン・タナー(Ralph Fiennes) - 「ドン・ファン」の現代版で進歩主義者で独身快楽主義者で - がいて、アン(Indira Varma)は情熱的でパワフルでしたたかで、彼女を崇拝する詩人のオクテイヴィアスがいて、彼の妹のヴァイオレットはアメリカ人の金持ちバカと結婚しようとしていて、その他にきらきらよくできた運転手のストレイカとか。

セットはモダンな現代ので、主人公は携帯もスポーツカーも持ってて変革に向けた啓発本「革命家必携」も書いてるセレブである、と。
お話しはアンの後見人に指名されてやなこった、とわーわー騒ぐタナーが地の果ての砂漠地帯まで逃げまくるのだが、結局アンの蜘蛛に捕まって、万事休す、みたいなお話し。 その間に社会主義山賊とか悪魔との対話とか、アナーキズムとは進歩とは超人とは、とか結婚と自由と、などなどを巡る会話が転がされたりして、字面だけ追うと確かに難しくて高尚そうでなんだけど、実はどこにも落着せずに各自言いたいことを好き放題言っているだけの下世話でじたばたしたファミリーコメディにしかならない、ていう。

そのギャップのおもしろさにはふたつの側面があって、いくら小難しい理想掲げても結局そういうところにしか落ちないのよね、ていうのと、いやむしろだからこそ革命を、みたいな話と。 で、その回転扉を徹底して会話劇のなかに浮かびあがらせることで英国的な揺さぶり、というかおちょくりをかけようとする。

スウィフトとかオースティンの英国気質にニーチェとかドン・ファンに代表される欧州観念論をぶつけてみて、どんなもんや? とかいうの。

ていうような理屈ぬきでも、単純にアメリカのTVでやってるコメディドラマみたいにへらへら見ていられて、とにかく楽しいったら。 おいらが村でいちばんいけてる、かっこいい、て思いこんでるあんちゃんが、都会の姐さんに散々いたぶられてぼろぼろになっていく様を悪魔と一緒に眺めていくの。 趣味のわるいアメリカ人の富豪と一緒になっちゃえば十分幸せかもしれないのにー。

Ralph Fiennesさんはほんとにチャーミングで楽しそうで、デス声でがーがー呻いていたヴォルデモート卿の頃とはぜんぜん違ってて、”The Grand Budapest Hotel” (2014) での彼のノリを数倍高速にしたかんじ。

演出のSimon Godwinさんはこの秋にBroadwayでチェーホフの『桜の園』をやる、と。
キャストにDiane Lane、Celia Keenan-Bolger、そしてTavi Gevinson!
(また行こうかなあ、むりかなあ)

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