7.13.2016

[film] 3 cœurs (2014)

8日の金曜日の晩、アンスティチュの『恋愛のディスクール』特集でみました。
この特集、ほんとうにすばらしかったのだが、これが最後の1本。

そしてこれも、掛け値なしにみごとな1本でした。 『3つのこころ』

フランス郊外の街でパリ行きの最終電車に乗り遅れたマルク(Benoît Poelvoorde)はじだんだふんで悪態ついて、しょうがないので駅前のバーに入って、そこで煙草を買いにきたシルヴィ― (Charlotte Gainsbourg)を見かけて、そこを出てふたりで並んで歩きはじめる。 始めは駅前のホテル見つけてチェックインしてお別れ、のはずだったのだが、何かが彼を引き留めて、ふたりで夜の街をふらふら彷徨って高台から朝日を眺めたりして(「砂漠で日の出を見てみたいな」)、マルクが電車に乗って帰るところで別れるのだが、互いの電話番号は教えずに、金曜日の7時に、公園で会おう、ていうの。わかるはずよね、と。

金曜日の晩、シルヴィ―は待ち合せの場所に来るのだが、マルクの仕事 - 監査とかやっている会計事務所みたいなとこ - が伸びて、あと少しのとこですれ違って、それきりになる。

シルヴィ―は夫との間がぎすぎすしてて、彼の仕事について米国に行くことになっていたのだが踏みきれず、でもマルクのことも無くなってしまったので諦めて、実家 - ママ(Catherine Deneuve)と妹のソフィー(Chiara Mastroianni)がいる - から旅だっていく。
シルヴィ―が発ったあとで、彼女とふたりでやっていたアンティーク店の帳簿が極めててきとーに放置されていたことが発覚し、どうしようって泣いていたソフィーを助けてあげたのがマルクで、ふたりは急速に仲良くなって、ソフィーの家でマルクは暮らしはじめる。 

ある日、ソフィーのPCのSkype越しに互いの姿を確認したふたりは愕然として、やがてマルクとソフィーの結婚式で里帰りしたシルヴィ―は、マルクを見てもまだ信じられない思いで、でも同時になにかに火がついて燃え広がっていく。

シルヴィ―とソフィーの間には姉妹の固い絆があって、やがて子供が生まれたソフィーとマルクの間の絆もあって、でももうひとつ、シルヴィ―とマルクの関係もまた、ふたりにとっては狂おしくて抗うことができなくて、断つことのできないものだったの。

マルクとシルヴィ―の出会いのシークエンスの繊細さ、再会したあとに暗がりで確かめあうふたりの猛々しさ、小さな風が起こって、それが時間と共に嵐のようになっていって、でもソフィーのこともあるから秘密はなんとしても守られなければならず、そんな様をサスペンスフルな音楽がそのまま突風として盛りたてる。

ひとはなんでそれでも、そんなふうになっても、ひとを求めてしまうのか、その予兆、予感、期待、などなど説明できないかんじ - かといって狂気にも向かわない囚われない - も含めて、これって恋愛そのものよね、と思うのだった。

そしてこれはものすごい俳優同士の殺し合いみたいなトライアングルの映画でもあって、その上階 - 大家にCatherine Deneuveがでーん、ているという — 。

ラストも泣けるんだようー。 こういうのを恋愛ドラマっていうんだよう。(誰に…?)

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