5日の火曜日の晩、シネマヴェーラのキューカー特集でみました。
『女相続人』
Olivia de Havillandさんの100歳お誕生日お祝いと、原作はヘンリー・ジェイムズの「ワシントン・スクエア」だというから。
優秀でブリリアントな医師である父(Ralph Richardson)とワシントン・スクエアの邸宅に住むキャサリン(Olivia de Havilland)は、刺繍が好きでおうちに籠りがちで、尊敬する父からは何事につけ亡くなった母と比べられるのであーあ、なのだが、おば(Miriam Hopkins)に連れていってもらったパーティでモリス(Montgomery Clift)と出会ってぐいぐい押してくる彼にぽーっとなって、父にも会わせてみるのだが、父にはこいつは遺産相続金狙いのろくでもないやろうだ、と断定されてあったまくるのだが、間髪入れずにそのまま頭を冷やせと父とふたりで半年間のヨーロッパ旅行に連れ出されて、戻ってきたらやっぱし忘れられないし彼も待っていてくれたので、ほうらやっぱし彼しかいない! て強く思うのだが、父は断固NO! なのでもういいわ縁きるわ、てモリスに駆け落ちしてちょうだい、ていうのだが、縁切りのことに触れたとたんモリスはぴく、ってなって、キャサリンはそこから夜通しずっと駆け落ちスタンバイして待っていたのにモリスは現れなかったの。
そこから時が過ぎて、ヨーロッパ旅行で体を壊したらしい父は亡くなって、憑りつかれたように脇目もふらずに刺繍漬けの日々を送るキャサリンのところに髭をはやしたモリスが現れて。
悪意とかいじわるとかキャサリンをみんなひどくいうけど、自分の亡妻の素晴らしさ(=そんな素晴らしい女性と結婚した自分えらい)を基準にしてしか他の女性を見ることができない父親も、美貌や相性以前にやっぱベースは金よね、て裏で思う二枚舌モリスも、そんなモリスを(そんなモリスだから)玩具にして遊んでしまうおばも、どいつもこいつも一見普通のようでいて性根は腐っているのでキャサリンはその毒にやられちゃったんだよね、てふつうに思う。 ほんとかわいそうなキャサリン、としか言いようがない。
だからほんとは最後、モリスを家に入れてあげて、その後でホラー映画か"Home Alone"かみたいにぼこぼこの串刺しにしてやればよかったのに。 ここまででじゅうぶん怨の字ホラーの要素たっぷりなんだから。
Olivia de Havillandさんの演技のすごさ。 わたしはあなたに全てを捧げています、ていうのと、あなたが言っていることは全てわかっていますわ、ていうのを並列処理して見せる表情の微妙さ、複雑さ、それらの統制 - そのベクトルが愛の歓びから憎悪に変わったところでどんなふうになっちゃうのか。
それはそれはなんというか、すさまじいのよねえ。
リメイクするとしたらモリス役はJames Francoさんしかいない、ておもった。
キャサリンはいっぱいいてむずかしいねえ。
7.12.2016
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