今回の旅、映画にはあまり重きを置いていなかったので見たのは3本だけだった。
Film ForumでRobert Frankのドキュメンタリー”Don’t Blink - Robert Frank”をやってて、それの関連で彼の”Cocksucker Blues” (1972)が2回だけ上映されたりしたのだが、チケットは取れるわけもなかった。
“Love & Friendship” - 23日、土曜日の午前にParis Theatreでみました。
公開開始が5月くらいだったのでまだやっているとは思わなかったが、ここでだけやっていた。
この映画館は、スクリーンいっこだけで随分昔からある(1948年からだって)のだが、バーグドルフとプラザホテルの間という超絶の立地なのに、なんでずっと維持できているのか、なぞすぎる。
原作はJane Austenの死後、1871年(書かれたのは1794年)に刊行された書簡体の短編”Lady Susan”で、ちょっとややこしいのだが、彼女が14歳のときに書いた”Love and Freindship”ていうタイトルの - これも書簡体小説 - もあったりする。
(Whit Stillman自身によるノベライズ本の巻末にはAustenの”Lady Susan”もおまけでついてた)
最初のほうは人物と土地の紹介が字幕で階級とかも含めてずらずら出てきて、懸命に追っかけるのだがもちろん頭に入るわけなく(後で本買ったら家系図があってようやく)、ああこの調子でごりごりの英国英語でやられたらどうしよう、て背筋が寒くなったが、なんとかがんばれた。たぶん。
夫に先立たれたLady Susan Vernon (Kate Beckinsale)は亡夫の親族とかいろんなツテを頼って田舎の邸から邸を転々としつつ、娘のFrederica (Morfydd Clark)の嫁ぎ先と、まだまだ若い自分のを探していく。 果たしてSusanとFredericaの幸せの行方は? で、そこで描かれるいろんな畸人変人、高慢ちきとかバカとかのおしゃべりと偏見をめぐるバトルのありさまはJane Austenの世界としかいいようがないのだが、それは同様に横並びのおしゃべりがきらきらとドミノ倒しで転がっていくWhit Stillmanの世界でもあって、人と人が向かいあっておしゃべりしているだけなのになんでこんなにおもしろいのか、と改めてびっくりしてしまう。
対面のおしゃべりべらべらべらによる局所戦、というのの他に隔たった土地と土地の間を頻繁に行き交う手紙、というのも立派な武器や砲弾として機能していて、着弾被弾した人たちが慌てふためいてやってきたり飛んでいったり、基本は現代と変わらないのかもだけど、なんだか趣深いことだねえ、て思った。
Lady Susanのおしゃべり相手のアメリカ人のお友達、という設定でAlicia Johnson (Chloë Sevigny)がいて、このふたり - Kate & Chloë が並んだ絵はこれの約200年後、”The Last Days of Disco” (1998)でも再生されることになる。
ここの次の上映は”Howard’s End” (1992) の25周年記念の4K Restoration、だそうで…
やれやれ、だわ。
こういう英国のって、時間感覚くるってねえか?
これにしても、パンク40周年にしても、Austenの200年だかにしてもさあー。
7.30.2016
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