ううう、ばたばたすぎる。
カリコレ2016のサブ企画(?)で”SXSW Tokyo Screening”ていうのがあって、最初の30分はSXSWのFilmディレクターのJanet Piersonさんが映画部門てなに? 参加するには? とかそういう話をしてた。
映画のほうは、タワレコ創業者のラス・ソロモンさんへのインタビューを中心としたドキュメンタリー。
親がやっていたドラッグストアの片隅で売り始めたジュークボックス用のシングルが売れるので、店舗を横に増築して、やがてTower Recordsとして、あのロゴ、あの黄色のお店ができて、それが西海岸に、全米に、日本を含めて世界に広がっていく様子と、それが00年代以降の音楽配信の波に乗り切れずに沈んでいくさまを、店子さんとかいろんなミュージシャン(D.C.店の店員だったDave Grohlさん - どこにでも出てくるねえ - とか)の証言と共に。
まずは売り子から入って、マネージャーになって、お店を任されて、という店員/社員を育てるプロセスとものすごくフレンドリーかついいかげんな、西海岸的な経営が60~70年代のミュージックビジネスの興隆と共に化学変化の大当たりしてでっかくなって、でっかくなりすぎたそれは時流の変化に対応しきれなくなって恐竜のように滅びる。
“The Rise and Fall of Tower Records" - ストーリーとしては子供でもわかる、わかり易すぎて、それがどうした? てなもんで、でも映画の主眼はそこにはなく、ソロモンさんの音楽とか従業員に対する純朴な愛とかが最後まで切々と語られる。 彼はレコードやお店を「商品」とか「流通」の観点から見ていなかったみたいだ。 ちゃんと見て、見れていたらあんな簡単に潰れなかったのではないかしら。
日本のタワレコが世界で唯一生き残っているのも、おおもとの彼の哲学が偉大だったから、というよりも、ああいう個々の商品(ミュージシャンやレコード)をカスタマイズして大切に売っていく、というやり方が日本の商文化にうまく合っていたから、だけなのではないか、とか。
わたしがこの世界で息を継げる場所は映画館と美術館と本屋とレコード屋しかない(... かわいそうに)ので、レコード屋はとてもとても大切な場所なのだが、タワレコに関してはあまりたいした思い出はなくて、なんというか、スーパーとかコンビニ、ていうポジションにある。わるいけど。
最初のタワレコが渋谷にできた頃、音楽というのは(今となってはちょっと信じられないけど)英国音楽のことで、レコードというのは英国盤のことで、だから渋谷のタワレコに寄るのは渋谷のCISCOに行ったついで、程度で、あそこで売っている米国盤なんて、ジャケットのボール紙みたいな紙質からぴっちりはりついたラップビニールからたまに入っている切り込みみたいのから、大量生産された粗悪品 - コカ・コーラやマクドナルドと同じでいっぱい摂取すると体にわるい - てかんじだったし、やたらにこにこ愛想のよい店員も不気味としか思えなかった。
失礼なもんだねえ、て思うが、このへんは今もほぼ変わらなくて、要するに単なる店に対する好み、でしかない。 量販店でもHMVとTowerだったらHMVのほうだったし。
で、この映画を見たからといってその辺の好みが覆るかというと、そんなことはないのだった、
けど、West 4thのお店の中二階とか、懐かしかった。 Patti Smithとか、よく見かけたなー。
でも、音楽を、レコードを売ることへの愛とか情熱、ていうのは例えばこんなふうに形になるんだなー、ていうのがようくわかってしみじみした。 嫌いな音楽とかぜったい売りたいと思わないけど、この人そういうのないのかなー、えらいなー。
あと、最後の恐竜、としか言いようがない西海岸のAmoebaは、あいつはいったいなんなのか。
あっちのほうが気になる。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。