5月4日の夕方、新宿で見ました。『ノーマ、世界を変える料理』。
Best Restaurant in the Worldに何度も選ばれているデンマークのレストラン - Nomaのシェフ - René Redzepi の4年間を追ったドキュメンタリー。 マケドニアからの移民としてデンマークに越してきて、地元の食材だけを使った料理でのしあがって栄光の座を掴んで、ノロウイルス問題とかにぶつかって、立ち直って、波瀾万丈でたいへんなの。
"El Bulli: Cooking in Progress" (2011)でも“Buscando a Gastón” (2014)でもこの映画でも、料理/料理人をネタにしたドキュメンタリーって、その料理人がどういう経緯や研鑽を経てその考え方とか思想に至り、そういう料理を、その一皿を、そのレストランを作った/作るようになったのか、を描くものだと思っている。 世界一とか予約が取れない(日本に来たとき? 行けるわけないじゃん)とかいうのはその結果なのでどうでもよい。
で、あともうひとつ重要なのは、そのお皿の何(素材、配置、色彩、焦げ目、フォーム、湯気.. )がそんなにおいしいと思わせるのか、ていうことなの。 食べてみなきゃわからん、はそりゃそうだろうけど、それじゃあまりに貧困だし、そこで想像力を駆使したいのだし、そこに映像はどこまで迫って頭のなかを泡立ててくれるのか、ていうことなの。 食のドキュメンタリーはその角度から食い込んでほしいんだけど。
例えば、黒アリさんが泡のなかでもそもそしているお皿(「野菜ブーケと黒アリのディップ」だって)があったけど、ああいうのをおいしいと思わせる、食べたいと思わせるなにかって、なんなのかと、そこに映像で答えてほしい。弟子たちが試作を作って延々NGを出し続けるシーンはどのシェフ映画にもあるけど、そういうプロセスがあるからおいしいのだ、ってそんなのあたりまえだよね。 作家やデザイナーの頭のなかをのぞくような話と同じで、すべての秘密はシェフの舌の上、なのだろうか? そうじゃないかたちで、加工や熱処理、それらに掛ける時間を追っていけばできると思うんだけど(そんなことしたら秘密が、なんて言うケツの穴の小さいやろうは世界一を名乗る資格なんてないね)
ワイズマン先生にやってみてほしいんだけど。
というわけなので、これを見てなにがなんでもNomaに行きたい食べたいよう、にはならなかったの。
恋愛と食べものに関しては映画を見て恋愛したくなったりお食事したくなったりはぜったい必要で、どちらもそういう世界への扉にならないといけないと思うの。
「世界を変える料理」ていうのがあるのだとしたら、まずはそこからでしょ。
まあ、“Best Restaurant in the World”なんて言ってもZagatとかオスカーとかキネ旬のランキングとかとおなじであんまし、だよね。あのリストに入っている日本のレストラン見ただけでも。
6.05.2016
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。