5月14日の土曜日の昼、アテネ・フランセの『トーマス・アルスラン監督特集 - Thomas Arslan Retrospektive 2016 』で見ました。 久々のアテネだったが入場が整理番号順になってて感動した。
日本語題も英語題も”In the Shadows” 。
アルスランの映画は初めてだし、現代ドイツ映画もわかんないし、現代ドイツ映画におけるアルスランの位置、もわかんないし、じゃあなんで興味をもったのか、も実はあまりわかっていない。 いや、そもそもわかんないから見ようと思ったんですけど。
現代のベルリンの街なかで、刑務所から出てきたばかりのトロヤン(Misel Maticevic)は自分がぶちこまれた件の分け前報酬を貰いにかつての親分のところにいくのだが、すんなり渡してくれないので無理やり奪って、それを元手にひとりで現金輸送車襲撃を企んでかつての仲間に声を掛ける。 他方で旧組織のほうはトロヤンを追い始めて、更に地場の性悪な刑事もねちねち絡んできて。
85分と時間は短いのにヤマの襲撃を含めてものすごくいろんなことが起こるので息もつかせない。
トロヤンの過去になにがあって、なにを抱えているのかとかどんな性格なのかとか、そういう説明は一切ないのと、出てくるのは悪いひとばかり、しかもほぼ昔から知っている連中だったりするので、会話も含めて互いに説明する必要がなくて、つまりは阿吽の動きでさくさく進んでいって、更にカメラはだいたい思いっきり遠くから草原の動物を撮るように撮っているので全体を横線で俯瞰できて、あんま揺れないし走らないし、つまり、現れて - 奪って - 奪って - 殺して - 殺して - 消える、そんなもんで犯罪ていうのは描写できるものだし、実際そんなふうにあっという間に起こって、結果は ...
なーんの特徴もないのっぺりしたベルリンの街のカフェとか、安ホテルとか、車と、最後に出てくる郊外の一軒屋とか、それくらいを背後に置いて、そのランドスケープの一部として描かれる犯罪と犯罪者と。 これらはかつてファスビンダーが印象的な貌と共に描いたぜんまい仕掛けみたいな小悪党たちと違うのかしら同じなのかしら、ていうのを少し思った。 どちらも現代のドイツ、ていうところ以上に、背景とか動機とかをすっとばして、ただただそこらに普通にたむろして動いている悪い奴らの顔とか挙動が、それのみがぼーっと浮かんでくるような。
彼らは外見に異常なところはなくて、ものすごく悪いひとにも見えず、割と普通のひとのようで、じゃあどれくらい普通て言えるのか? ベルリンの天使とおなじくらい?
… “In the Shadows” - それはなんの影の ?
6.14.2016
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。