6.13.2016

[film] 子供の四季 春夏の巻・秋冬の巻 (1939)

5月8日の午前、シネマヴェーラの清水宏特集でみました。
これが今回自分が見た清水宏特集のラスト。
春夏の巻が70分、秋冬の巻が72分、どちらの巻も最終リールがどこかにいってしまったので不完全版のまま。
原作は坪田譲治。

道、道路とならんでもうひとつ清水宏の映画で重要な役割を担っているのが子供たちで、どちらも迷える大人たちを(ちっとも臭いやりかたではなく)正しいほうにガイドしてくれるの。

山あいの田舎の村で子供たちがわーわーやりながら通学したりしていると、後から馬に乗った威厳たっぷりのおじいさんがゆっくりついて来たりしていて、やがてそれが子供たちのうち、二人の男の子兄弟の祖父で、自分ちの会社から逃げて牧童のところに駆け落ちした彼らの母を勘当していたことがわかって、そのうち子供たちを介して母と祖父は和解する。

それをおもしろくなく思っているのが婿養子でおじいさんの会社を乗っ取る野望を抱えてダークサイドに落ちてしまった老獪(そういう名前?)で、彼はかつて祖父から娘の牧場に貸された(?)お金を不正だと騒いで、いじわるして、そのあげく、元々病弱だった少年たちの父は亡くなってしまうの。 (亡くなるところはフィルムがないので見れなくて、ここまでが春夏篇のおわり)

後半の秋冬の巻は、ほんとうに秋冬の寒いかんじで、父を失った少年たちは母と一緒に祖父の家に同居していて、でも老獪は彼の妻と一緒に会社乗っ取りの野望を諦めずにいろんなことをねちねちやっていくので、放課後みんなで一緒に遊ぶ子供たちの仲もなんかぎくしゃくして、やがておうちのものは全部差し押さえられてしまって、みんなとってもかわいそうになる。 ああおじいさんの家の、子供たちの運命やいかにー、なの。

田舎の子供たちの夏休みをはさんだ瑞々しい世界に対置されて支配/成り上がり欲だの義理だのにまみれた大人たちの醜い世界、が描かれるのだが、映画のタイトルはあくまで「子供の四季」で、大人が子供の世界を浸食したり刷りこんだり教育したり、或いは子供が大人の世界を覗いてしまってどんよりしたり、といった過酷な状態にはならなくて、しょんぼりしたりべそかいたりするけど、子供は子供のまま、かといってその無邪気な光が大人たちをめでたく改心させるわけではなくて、ただただ両者は同じ家や土間や道の上に犬猫みたいに一緒にいる。
その距離のとりかたがとっても素敵なのだった。 毎度のことながら。

ここの最終リールも残されていないので、結末がどうなったのかわからないのだが、たぶんHappily Ever After になったとおもう。

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