5.07.2016

[film] 東京の恋人 (1952)

17日の日曜日の午前、シネマヴェーラの千葉泰樹特集で見ました。
千葉泰樹特集、ぜんぜん見れなくて、でもこれくらいは、と。 原節子の追悼もしてなかったし。

銀座の街角で似顔絵描きをしているユキ(原節子)は靴磨きの三銃士(浮浪児3人組)と貧しくても清く楽しく歌うたったりしながら暮らしてて、ユキは偽宝石作り(まっとうな仕事なんだと彼はいう)をやっている黒川(三船敏郎)と知りあって、彼が店頭ディスプレイ用に商品を納品した宝石店の隣にはパチンコ玉製造でぶいぶい儲けている森繁久彌の会社があって、森繁は愛人の藤間紫に50万円の宝石をパパ~買って~ てせがまれてて、それが正妻の清川虹子にばれて、更にお店で偽モノと本モノがとりちがえられちゃったのでいろんな修羅場も含めて大騒ぎになって、その火の粉がユキたちのほうにも飛んできてしっちゃかめっちゃかになるのがひとつ。

もうひとつは、黒川が道端で倒れていた娼婦のハルミ(杉葉子)をアパートに連れて帰ったらそこはユキたちの貧乏アパートと同じとこで、病状がよくないので郷里の母親を呼んだほうがいい、ていうことになって、ハルミは母には結婚していて幸せよ、て手紙で伝えていたものだから急遽黒川が夫役で登板することになってじたばたして、でもハルミの病は…

ていうドタバタとかわいそうなののアップダウンが激しくて、メインに置きたいのはたぶん、ユキと黒川のラブコメのはずなのだが、黒川はうさん臭がられたり嫌われたりちんぴらと大乱闘したり介護したり婿役やったり洗濯やったり、あそこまでいろんなひどい目にあったらこんな奴らとかかわりあうのはまっぴらごめん、になっておかしくないのに根が善良なのか他に友達がいないのか、いやいやユキに惚れちゃったからよね、というあたりがよいかんじだった。

それにひきかえユキのほうは、目線も行いもまっすぐでぜんぜんぶれない純正よいこで、三銃士に慕われ、森繁にも惚れられ、黒川にも、ていう満場一致で「東京の恋人」、としか言いようがないのだった。

ラストの、隅田川をボートですーっと滑っていくよいこ組と隅田川の底に潜って指輪を探し続けるじじばば組と、残酷でくっきりした対比もよかったの。

ハルミの看病のシーンで、狭い畳の間に三船敏郎と小泉博(= 追分三五郎 - 三銃士のひとり) - どっちも目鼻が異様にきりっとした若侍顔 - が並んで神妙に座っているのってなかなかシュールな光景だった。

あと、清川虹子が藤間紫を貶していう「あんなふうちゃかぴいの粕漬けみたいな女」ていうのが耳から離れない。 正しい使いかたを知りたい。

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