10.12.2012

[film] September 2012

アメリカ行く前の9月15~17の間に見た映画、少しでも書いておかないと忘れてしまうので、少しだけ。

次の3本は9/15, アンスティチュのRaoul Ruiz特集から。

Klimt (2006)
死の床にあるクリムトを弟子のエゴン・シーレが見舞い、そこで回想されるあんなことこんなこと。
淡々と理想のエロ画を追い求めつつ、社交界にデビューして有名になって煩悶して、そんななかでも、ガラスの向こう側とこちら側で見ているものと見られているものの関係が転覆したり転移したりという、Raoul Ruiぽいテーマが描かれている。
そういう混沌の渦とともに現れたヨーロッパの近代、そこから逆照射される人間の精神とか幻想とか野性とか野蛮とか。
でも、ふつうの「クリムト伝」を求めてきたひとにはきついかったかも、と思った。
画面には出てこなかったけど、カフェで喧嘩していたウィトゲンシュタインて、青本のウィトゲンシュタイン?
あと、Klimt役のJohn Malkovichはよいのだけど、やっぱし英語はしゃべってほしくなかったかも。

Ce Jour-là (2003) 『その日』  英題は"That Day"
スイスのどこかで大きな館を相続することになっている娘さんがいて、彼女は精霊さんとお話しできてしまうようなセンシティヴな不思議さんで、それを面白く思っていない親族のじじばば共が、精神病院にいた凶悪犯(中年、男)を送りこんで抹殺しようと企むのだが、顔をあわせたふたりは天才バカボン的に波長があってしまい、男のほうは館にやってくる客人を頼まれもしないのに端から血祭りにあげていくの。
筋だけ書くとホラーみたいに見えるが、実際は変な具合におかしくて、ふたりの意思が通いあってそういうことをしているわけでも、明確な悪意があって殺しをやっているわけでも、また殺される側もそんな悪いひとたちでもなく、妖精さんの仕業のように見えてしまうとこが、なんかすごい。
人が悪かったわけでも、その時だったからというわけでも、その家だったから、というわけでもない。 ただ、そういうことが起こって、びっくり、ていうそんな一日のおはなし。

狙ったわけではないのだろうが、無表情なコメディとしてなかなかおかしくて、めっけもんだった。

Le Temps Retrouvé, D'après L'oeuvre de Marcel Proust (1999)  『見出された時』 158分。
"Klimt"と同じく、死の床にあるプルーストが過去を振り返って、走馬灯のなかに失われた時を見出すおはなし。
原作は小説という形式でしかありえない内容をもったものなので、これを映画という形式で表わすにはこういうふうにするしかないんだろうねえ。
実際に死の床についたことがないからわかんないけど、クリムトにしてもプルーストにしても、よくもあんなブリリアントなイメージが蘇ってくるもんだねえ。 最後の最後の瞬間に、ほんとゴミみたいな記憶がぽこっと湧いて居座ったらどうしよう、ていつも思うの。しょうもないけど。

あと、わたしはジルベルト派ではなくてアルベルチーヌ派なので、その辺がちょっと不満だった。
サン=ルーも、あんな猿みたいのじゃないはず、とかおもった。

あと、"Klimt"見てこれ見ると、Raoul Ruizって、エロを描けないひとなんだねえ、と思った。
そこがなあー。

Mirror, Mirror (2012) 『白雪姫と鏡の女王』
16日に新宿で見ました。

おもしろかったー。 でもこれ、アニメでもよかったかも。ディズニーのキャラそのまま使って。
前半はあんましだが、後半、小人共に教育されて目覚めていくあたりからぐいぐい面白くなってくる。
でも、時間が経ってしまった今、自分のなかでは"Brave" - 『メリダとおそろし…』と混じりあってどっちがどっちだったかわからなくなっていることがわかった。
どっちも森はおそろしで、ママが嫌なやつで、小人とか熊とかがちょろちょろしてて、みたいな。

王子さまの彼って、"The Social Network"の双子のひとだよね。 
実際に大金持ちのお坊ちゃまなんだよね。 いいなー。

Rebecca (1940)
17日、日比谷の午前10時で見ました。

お金持ちのばばあのお手伝いをさせられてた女学生が別の大金持ちに拾われて結婚して彼のおうちに行ってみたらすんごい邸宅(Manderlay)で、でも彼の亡妻の影とか遺物とかがいろんなとこにあって誰にも相手してもらえなくてうんざりして、もうやだ、になったとこでなかなかとんでもない事実があきらかになる。
お金持ちってたいへんだよねえ、というのもあるが、旅先で知りあってそのままちゃらちゃらついて行っちゃった女学生も愚かだったのよね、とかおもった。
誰ひとりとしてかわいそうじゃないので、安心してぐいぐいひきこまれる。おもしろかったねえ。

Intouchables (2011)  『最強のふたり』
17日、"Rebecca"のあとに見ました。 大金持ちドラマ続き。

ふたりがひとつの画面に映りこんでいるとこ、このふたりがUntouchable、というよりそれぞれのUntouchableな過去や現在がきちんと描けているがゆえのふたり、であるとこがよいの。
あと、音楽がよくてー。 空を飛ぶとこで流れるNina Simone とか。
あのあんちゃんは、あのいでたちでEarth, Wind & Fireはないんじゃないか、Hip Hopのほうだろ、と思ったのだが、最後にちらっと映った御本人の姿をみて少し納得した。あれなら。

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