NYFF、オープニングだけじゃつまんないので、少しは他のも見ておきたい、と。
英語題は、"Camille Rewinds"。 これがNorth American Premiere。
この日、他に盛りあがっていたのは晩にかかった、Brian De Palmaの新作と、リバイバルだとストーンズの"Charlie is My Darling" (1965)とか。
40代後半(おそらく)のCamilleは夫と離婚手続き中で、家を出ていく出ていかないで喧嘩ばかりしてて、そんなある日、高校の友達んちのパーティに行って、仲良し4人で飲んで歌って踊っているうちに気を失って倒れちゃって、目覚めてみるとそこは高校時代の自分の部屋、自分は16歳になるところ(Sixteen Candles!)なのだった。
監督のNoémie Lvovskyが主演のCamilleをやっている。
こんなの、日本のしょーもないドラマとかでいくらでもありそうな設定なのだが、おもしろいのは、Camilleの容姿体型はおばさんのままで、でも周囲にはそうは見えないらしい、と。 おばさんだけど、洋服は80年代のああいう恥かしいのしかなくて、それをおばさんが着ておばさんがどたばたする。 (サイズはだいじょうぶなのか、と少し思った)
彼女の部屋に貼ってあるポスターはBelle StarsとかFlash Dance(映画)とか"True Blue"のMadonnaとか、そんなの。
音楽は、みんなで振りをあわせて踊る"Walking on Sunshine"(いいよね〜)とか、自転車Walkmanで"99 Luftballons Rock"とか。
で、この高校で彼女は夫と出会ってファーストキスをしてやがて結婚することになる。 でも未来から落ちてきた彼女は、そんなことしたら同じ痛い過ちを繰り返すことになるのであかん、ということがわかっている、だから一応じたばたしてみる。
あと、彼女はこのころに母親を突然の病気で亡くしてしまうので、それをなんとか防げないかと思って焦りまくる。 母親の声をテープに録ってみたり、病院で検査を受けるように勧めたり。
こういうタイムトラベルものって、自分にとっての「現在」とのギャップをなんとかしようってがんばるのと同時に、他人とか「現在」に影響を与えないようにせねば、と取り繕うところで倍のじたばたが加味されて、そういう全体の狂騒状態がおもしろいのだと思う(たぶん。おもしろいと思ったことあんまないけど)が、この作品のCamilleの場合、これは夢でわたしはそこに落ちているだけだ、というのが彼女のなかではっきりしてて、過去から現在を救うことができないことを、(口には出さないけど)彼女は知っている。 "Slip"ではなく"Rewind"。
だからこそ、母親が床に倒れる音を聞く彼女の後姿は、とってもせつなく、悲しい。
そこからさらに、過去を変えられないが故に獲得できる現在の自由、ここからの未来の豊かさ、のようなところに目覚める終盤が大人で、おばさんだけど大人で、すばらしいの。
印象として近いのは、『秋日子かく語りき』かなあ。 あれはタイムトラベルものではないけど。
Jean-Pierre Léaudが、主人公に呪い(?)をかける怪しい老人を見事に。
そしてMathieu Amalricが、があがあやかましい変な高校教師役でちらっと出てきます。
10.05.2012
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