いろいろたまってしまったので、まとめて一挙に書いてしまえ。
12/11(日)"ICE" (1970)
ロンドンに発つ前の晩に。
日仏の特集『鉛の時代 映画のテロリズム』から1本くらいは見ておきたい、と。
いちテロ組織の活動をドキュメンタリー風に追っていくようでありながら、はっきりとフィクションであること、その際が浮かびあがるような作り。
これを経て次の"Milestones" (1975)に行ったのだなあ、と。
12/18 (日) "HUGO 3D" (2011)
ロンドン最後の日曜日にみた最後の。
わかりやすいし画面はきれいだし、Scorseseの最近の作品のなかでは、ぜんぜんよいとおもう。
けど、シネフィルの人たちが、泣いた!とか大絶賛するほどのもんでもないような。
『帝都物語』みたいに圧倒的な悪役とか魑魅魍魎とかいたほうがよかったのかも、とか。
どうでもいいけど、主演の男の子がJeff Tweedyそっくりでさあ。
12/23 (金) "Black Magic" (1949) 『黒魔術』
帰国した翌日、シネマヴェーラの特集『映画史上の名作6』から。
オープニングがかっこいいの。カリオストロ侯爵の復讐潭を軸にマリー・アントワネット期のフランス王室の陰謀、催眠師メスマーとの確執などなどが絡んで、お話を締めるのはA・デュマという。
なんでこんなおもしれえのが未公開のまま60年、だったわけ?
IMDBにはDouglas Sirkが監督する予定だったとかあるけど、そしたらどんなんだったかなあ。
12/23 (金) "Nothing Sacred" (1937) 『無責任時代』
『牛泥棒』(1943) のWilliam A. Wellmanによるスクリューボールコメディだって。
こんなのも未公開だったの。
NYのタブロイド紙の記者が特ダネ狙いで田舎のラジウム中毒で死にそうな娘を拾ってきて悲劇のヒロインに仕立てあげてNYじゅう大騒ぎになるのだが、実は飲んだくれ獣医の誤診で中毒でもなんでもなかった、さてどうする、と。
とにかくCarole Lombardがぱきぱき素敵でさあ。終盤のビンタで漫画みたいにひっくり返るとことか最高。
もうちょっとちゃんとしたカラーで見たかったなあ。
12/24 (土) "A Night at the Opera" (1935) 『マルクス兄弟オペラは踊る』
おもしろかったねえ。なんも考えてなくても、動きを目で追っているだけでいくらでも笑っていられる。
詰め込み船室のとこもおもしろいけど、やっぱしラストのオペラハウスの大騒ぎだねえ。
あの、緞帳を垂直にざざーっと這いあがるとことか、信じらんない。
オペラの描写もメインのふたりのとこだけはちゃんとしてるし。
あの会場って、先代のMetropolitan Operahouseなのかなあ。
28日は会社休んで、2本見ました。
12/28 (水) "Mission: Impossible - Ghost Protocol" (2011)
六本木で見ました。おもしろかった。
ほとんどのアクションのとっかかりがサーバーに直接触んないといけないから、ていうのがおもしろいよね。 サーバー=(昔の)金庫、なのね。
でも、サーバールームて地上130階とかには作んないし、どのサーバーのどのポートに差せばいいかなんてそんな簡単にわかんねえよね、ふつう、とか。
でもいいの。 なんかおかしいし。みんな目つりあげて一生懸命走り回ってるし。
最後のあれもあれだけど、ぎりぎりで無効化されたあれがサンフランシスコのあそこにがん、てぶつかって落ちるとこがよかった。 でも、元がぼろいもんだからぶつかったショックで電源入っちゃってどっかーん、とか、だれでも思うよね。
Jeremy Rennerが狂犬じゃないふうで出てていかった。 おれの前職はなあ... って爆弾処理とかやってくれたらもっと面白かったのに。
Léa Seydouxさんもすてきだったねえ。
12/28 (水) "El Bulli: Cooking in Progress" (2011)
閉店によってその秘密(てほどのもんでもないか)が永遠に封印されてしまった(かに見える)El Bulliの1年を追ったドキュメンタリー。
1年の半分でメニューの開発して、残りの半分でお店やってる。
Ferran Adriàは確かに料理のありようを変えた。
料理の要素をサイエンスとデータベースとプレゼンテーションに分解した。
そいで、「おいしい」という食体験をその角度から実験したり検証すること、それができる、ということを世に知らしめた。
楽器ができなくても、ライブの経験がなくてもデスクトップ上で音楽は作れる、それと同じような状況を作り出したのだと思う。
それを具体的にどうやっているのか、を静かな画面構成で追っていったのがこの作品。
Ferran Adriàが料理を作るシーンはなくて、実際につくるのは弟子たちで、彼は延々試食して、だめ出しをしたりするだけ。
目がぜんぜん笑わないの。「俺にまずいものを食わせるんじゃねえ」って。
あと、火を使うシーンもほとんどなかったかも。
たぶん、使われなかったとこに秘密のほとんどはあるんだろうな、ということがわかる構成だったかも。 ま、店がなくなっちゃった今となってはどうでもよいことなのだが。
12/29 (木) "At War with the Army" (1950) 『底抜け右向け!左』
すっとぼけぼんくらキャラのジェリー・ルイスとねちねちすけべやろうのディーン・マーティンコンビによる軍隊もの。 でも戦場のはなしではなくて、事務所みたいなとこで延々しょうもないことをやったり痴話喧嘩みたいのをやってるだけなの。
でも、音楽になると楽しくてうっとり。 いいよねえ。
これの後で、新宿Pit Innに向かって大友良英 + Jim O'Rourke DUO を聴いた。
なんか締めのライブ行きたいなーと思って。
後ろのほうだったのであんま見えなかったのだが、Jimのプリペアドピアノと大友さんの鉄琴とか、全体としてはとても静かな、除夜の鐘のようにじんわりと染みてくるノイズだった。
アンコールでやった、ピアノとギターのシンプルなのも素敵だった。
これで今年のライブはおわり。
この後、晩から渋谷に戻って。
12/29 (木) "サウダーヂ" (2011)
後でちゃんと書きますわ。 すんばらしい音楽映画だった。
12/30 (金) "One Hour with You" (1932) 『君とひととき』
結婚3年目の仲良し夫婦の、妻の親友が夫に、その親友の夫が妻に、それぞれアタックをかけて、さてどうなるでせう、というお話。 主題歌がすんごーく素敵なのだが、そんなのはともかく、ルビッチのエロが全開ですげえ。 でも画面上はぜんぜんそんなんではないので、それをすけべと感じるあなたがすけべなのです、という罠がびっちり張られててどうすることもできない。
揺るぎない楽観すけべ主義の炎。 すごいわよ。
12/30 (金) "New Year's Eve" (2011)
六本木で見ました。年またいだら見る気しなくなるだろうし。
NYでもLondonでもレビューは最低だったから、それなりに覚悟はしていて、そのせいかそんなにひどくもないような気がした。
最後に結ばれるカップルのオンナのほうがあれじゃなかったら、ほんもんの市長が出なかったら、もうちょっとましなもんになっていたと思う。
だいたいさー、大晦日の玉落としなんて、あんなの田舎もんしか行かないよ。
に始まって、つっこみどころ満載なんですけど。
Michelle Pfeifferはたしかにイタいけど、他に適当なひといっぱいいたじゃろー、とか。
(Juliette Binocheでよかったじゃん、べつに)
Lea Micheleのメイク、はりきってがんばったのだろうが、もうちょっとなんとか、とか。
Michelle Pfeifferの勤務先は14th stって言ってたけど、あの場所は40thのPark Aveだよ。
あと、ふたりが約束してた54thのあたりなんて、なんもないよ。
Radio City Music Hallの看板に、1/29にあったIron & Wineのライブ告知がそのまま出てるの。
そしてどこまでも差別されるスタテン ...
12/31 (土) 幕末太陽傳 (1957) デジタル修復版
今年の締め映画はこれでした。
何回見てもすんばらし。 気のせいかも知れないが画面全体が明るくなって廊下の向こう、さらにその先の海の向こうまで、ずうーっと見事に見渡せて、風通しがよくなった気がした。
その遠くの、向こう側(あめりか)に、俺はまだまだ生きるんでぃ! てさーっと走って行ってしまう佐平次のかっこいいこと。 見習いたい。
そしてしゃべりとアクションが止まんなくてすごい。そのすごさが遊郭の人たちと佐平次にはあって、幕末の志士たちには見事にない。だから明治以降の日本はだめになっていったのね、とか。
それにしても、この映画に出てくる猫とネズミはなんなの? ていつも気になってしょうがない。
飼ってるの? そのへんに勝手にいるの?
というわけでよいお年を!
年が明けたら2011ベストでも書いてみよっと。
12.31.2011
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