土曜日の午後に六本木で見ました。
これをNew Yorkで見なかった理由はかんたん、Oakland Athleticsの実話ドラマだから。
冒頭のFootageからJohnny "原始人" Damonが出てきて、Jason "筋肉バカ" Giambiが出てくる。
2001年のDivision Seriesの対Yankees戦。
これのあとで、原始人はRed Soxに行って、筋肉バカはYankeesに来て、暗黒の00年代がはじまったんである。
忘れるわけがない。 (これがNYで見なかった理由.. ざわざわうるさくなるにきまってるから)
んで、映画はこの敗戦をきっかけにはじまったAthleticsのGM - Billy Beane (Brad Pitt)の奮闘を描く。
Baseballの人材確保はつまるところ人身売買みたいなもんだ。その選手の夢とか将来までも買って、だめだったらぜんぶお払い箱で、それでも次のシーズン、次のゲームは続いていく。 そしてゲームは勝たなければ意味がなくて、勝つためにはお金がいる。
で、これをどうやって安くあげて、しかもゲームに勝って、みんなが幸せになれるのか、それを考えて実行することが肝心で、でもそれを従来の、ふつうのやり方でやっていてはだめだ - そんな時にでてきたのが、Jonah Hill と彼のもちこんだMoneyball理論なの。
Baseballを見にくるファンの代弁者という立場から人買いをするスカウトたちと、勝つために必要なリソース(出塁率の多いやつ)を確保して使おうとするフロント(GMとAGMだけだが)の確執、そのせめぎあいを軸に、GM自身の挫折した過去や彼の家族のお話をねじこんで、彼の捨て身の賭けと、でっかい賭場としての、アメリカ国民の「夢」としてのBaseballのありよう、その現在形を描き出す。
もちろん、最終的なところは、シナリオ通りにはいかない - だからゲームなんだけど - というところにもちゃんと落ちている。
基本は脚本家(Aaron Sorkin & Steven Zaillian - ヒットメーカー)の映画なので、ほんとスムーズに、洟垂らしてぼーっとしながらでも見ていることはできる。 TVでBaseballの試合みてるのとおなじように。 それでよかったのかしら、とか。
そんなふうにきれいに進行していくかのようで、たまに、逆上したブラピがぼこぼこにものをぶっ壊すところがあって、それがよかった。
なんの説明も前置きもなしにどかどかがしゃーん、とかモノにあたるとこがいいの。
"The Social Network"では主人公がぼーっとしたナードの風貌の裏で平気でひとをばっさり切ったりするが、この主人公も一見快活なビジネスマンのようでいて裏にはもやもやぐしゃぐしゃの闇を抱えこんでいて、そのへんの出し方はよいかも。
Jonah Hill も、ほとんど"Cyrus" (2010)とおなじような不気味なキャラだが、いい。
Moneyball理論を適用したからと言って優勝できるわけではないし、同様にお金をかけたから優勝できる、というわけでもない、だからこそ止められないんだ、やるんだ! とかゆってBaseballに夢とか人生とかをぜんぶ託して、神目線で語られるようなのはまっぴらごめんなのだが、そういうとこは割と冷めてて、上に書いたようながしゃがしゃどがーん、とかでうまく回避できていたかも。
うまくいくこともあるしいかないこともあるさ、それだけの-。
邦題は、『ブラピのきんたま野球』かなんかでよかったのにな。
12.15.2011
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