12.21.2011

[film] Margaret (2011)

18日の日曜日の午後、Harrods行ったあと、Odeon系のインディペンデントのシネコンみたいなとこでみました。
Time Out LondonのBest of 2011 Filmに結構入っていたので、見てみようかと。

マンハッタンの西の上のほう(84thあたり? そんなに高級でもないエリア)に母と弟と3人で暮らす高校生のLisa(Anna Paquin)は、割とふつうにいる少しだけ不良の生意気な娘さんで、ある日バスの運転手にちょっかいだしたら、その運転手は赤信号をスルーして、結果中年の婦人を轢いてしまう。
Lisaは血まみれになりながら婦人を救おうとしたのだが、彼女はそのまま亡くなってしまい、警察の事情聴取には、自分のせいで運転手がミスをした、ということを言えないまま、婦人の信号無視というかたちでケースはクローズしてしまう。

もやもやを抱えつつ高校生活に戻るのだが、なにやってもどこいっても衝突してばかりでうまくいかない。
オフブロードウェイで女優をやっている母は、彼女を慕うコロンビアの起業家(Jean Reno... あやしー)とつきあったりで忙しいし、バージンなんていらねえ、と穏やか系不良のKieran Culkin(Igby...)に頼んでみたりするが、これもうまくいかない(しっかりしろIgby!)。

どんどん荒れて、相談相手もいないまま追い詰められていった彼女は、亡くなった婦人の家族とかその友達に会ったり、いろんなひとに相談した結果、自分の証言した内容を変えて、正直に事の経緯を明らかにして、裁判に持ちこもうとするのだが、それもまた・・・

彼女の学園生活、というよりも親や事件をきっかけに知り合った大人たちとの間でじたばたしまくって、友達もみんないなくなって、とっても痛くて哀しいLisaの姿がマンハッタンの昼のざわざわ、夜のしんとした冷たさのなかで丁寧に描かれる。 ここには希望も救いもない。わるいけど。

いろんなひとがいっぱいいるマンハッタンの、そこで生活するいろんな大人たちとの間でDisconnectされたまま、イライラを募らせていく彼女のことを理解できる、とはいうまい。 ただ、あそこの大人たち、例えば裁判所とかMTA(交通局)とかがどういうロジックで動くのかとか、動かないのかとか、そういう話はとってもよくわかる。 だからそこを経由したうえでの彼女の苛立ち、というのは、わかんないでもない。

それにしても、Anna Paquinのテンションはすさまじい。 役作りとかをすっとばして、そのままそういうひとみたいに見える。 ぼくはどこかできみのことを知っている。

彼女が相談を持ちかける気弱な数学の教師にMatt Damon。 彼女にさみしいのよ、とか言われてつい淫行してしまったり。
それから、ちょっとぼんくらでみんなにからかわれる国語の教師にMatthew Broderick (しっかりしろFerris!) とか、なにげに豪華だったりする。

撮影は2007年に終わっていたのに編集に時間かけすぎて訴訟おこされて、最終的にMartin ScorseseとThelma Schoonmaker組が編集して仕上げてここまでもってきた、と。 150分。 そんなに長いかんじはしなかった。

主人公の名前はLisaなのになんで、"Margaret"なのかというと、英国の詩人Gerard Manley Hopkins (1844 - 1889)の詩:"Spring and Fall: to a young child" から来ているそう。 この詩が国語の授業で読まれるシーンがあるの。

いらいらしたり嘆いたり、上がったり下がったり大変だねえMargaret---, みたいなやつ。

この詩、Natalie Merchantさんの曲にそのままなったりもしているので、それなりにスタンダードなのかしら。

あと、母と娘のお話、ということでいうと、"Black Swan"のバレエ抜き版、みたいなかんじもあったかも。  あそこでも、アッパーウェストの古いアパート暮らしの母娘の関係と、それがなんとなく崩れていく様が描かれていた。

学園ものというよりも、女性映画というよりも、New Yorkの映画、かなあ。
あの独特の冷たくて、とりつくしまもないかんじが。 それがちゃんと描けているのってなかなかないとおもう。

だからOccupy Wall Steetは、こういう場所から、起こるべくして起こった、ともいえるのよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。