滞在中の音楽関係は、じみなもんでした。
到着翌日25日のBoweryでのThe Shinsは、ロンドンからチケット取ろうとがんばってみたもののぜんぜんだめ。 同様に突然発表となったRadioheadは、同志Mにがんばってもらったもののこれもまったくだめ。こういうのはもう、年寄りはだめだよね。 金とコネを手に入れるしかないのか。
月曜日の夕方、どっちみち行く予定だったOther Musicで8:00からTwin Sisterのインストアライブがある、ということで、行ってみる。 着いたときは8:15だったのだがまだ開いてなくて、8:30頃にようやく開いた。
Twin Sisterについては前知識もほとんどなくて、Sisterだから2人組?とかそんな程度だった。
前の方が人で埋まっていて殆ど見えなかったのだが、5人組だったのね。
ここのインストアはレコード棚をいくつか片づけて、ほんとにちいさい空間で行われるのだが、それに見事にはまる四畳半ポップスだった。 けど、それはスペースの仕様に合わせて抑えているだけで、でっかい箱に行ったらそれなりに暴れるからね、という勢いを、時折かちかちぶおぶお膨らむ予兆を見せるドラムスとベースは示しているのだった。
昨年みたNeon Indianもそうだったのだが、シンセ(モジュラーシンセだった)の80年代(not 後半)風の使い方がほんとうに上手なのね。
ここのインストアライブ、9月からNeon Indian ~ Girls ~ Twin Sisterと続いている。
おみあげに、Twin Sister、Girls、Beirutの各アナログ買った。 もうCDは買う気にならないのね。
火曜日、BrooklynでのSwans。 これだけは出張が決まった時点でチケットをおさえた。 この日はSold Outして、水曜日の追加がでてた。
311でキャンセルになった日本公演のチケットは結局払い戻しするの忘れてしまった。MelvinsもGaslightも忘れてしまった。 あの後、なんかどうでもよくなっちゃったのね。
前座はSun City GirlsのSir Richard Bishopさん。 へたっていたので床に座って聴いていたのだが、ひとりギターとは思えない、ありえない音が螺旋階段状に伸びていった。 終演後、Michael Giraがわざわざ出てきて、Right Handの巨匠に改めて拍手を! て敬礼していた。
始まったのは10時過ぎで、最初にパーカッションのひとが出てきてぶぉーん、て音をキックしてそのままひっこむ。 その5分後くらいに、横置きギターのひとが出てきて別の音をびぉーん、て加えてまたひっこむ。 耳が痛くなってきた頃に、ドラムスが出てきてパーカッションをかちかちやりはじめて、次に... こうして全員が出てきた頃には既に30分くらい経っていたか。
んで、予想はついたものの、全員が揃って、せーので一斉にぐぁんと鳴らした瞬間、めまいがして床に倒れそうになる、それくらい強い音圧だった。
そういうのは結構慣れているほう、と自分では思っていたのだが、ちょっとレベルがちがった。
金属系のパーカッションをがんがんごんごん打ち鳴らしつつ突っ走るドラムスとパーカッションがとにかくすごくて(ドラムスはCop Shoot CopのPhil Puleoさんだった)、この爆風にスライドのギターが目潰しみたいに刺さってきて、あとは頭がつーんとしてわけわかんなくなる。
Michael Giraのヴォーカルも、以前ソロで聴いたときの百倍の獰猛さでがなりまくるが、基本は轟音を打ち鳴らして、打ち鳴らして、焼き払っていくのみ。
所謂ポストロック系の(統御可能な)「美」に向かいがちな轟音とは明らかにちがう、明確な意志と悪意(それは80年代初から続いている)によって鳴らされるインダストリアルの極北。
こういう音が、確かにむかしあった、よね。 と麻痺しつつある頭の奥で点滅しているなにかがゆった。
ほぼノンストップ、アンコールなしで2時間半たっぷり。
約30年を経ての、ようやくの邂逅、というよりは、あまりに生々しく、いまここにある暴風雨として、手のつけられない理不尽な力、として彼らはやってきた。
というか、GiraがSwansを再開した理由はそこにしかないのだ、ということがはっきりとわかる音でした。
耳の片方は完全にしんで、戻るのに2日かかった。
10.04.2011
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