2.26.2024

[film] Craig's Wife (1936)

2月16日、金曜日の晩、”Madame Web”の後にBFI SouthbankのDorothy Arzner特集で見ました。

原作はピュリッツァー賞を受賞したGeorge Kelly(Grace Kellyの伯父さん)による同名戯曲(1925)、1928年のIrene Rich主演による同名サイレント映画も同じ原作(未見)。1950年にはJoan Crawford主演で”Harriet Craig”としてリメイクされている(これは見た。こっちのもすごい)。みんなそんなに悪妻ものが好きなのか。

夫よりも他の家族親族よりも家のなかの壺とかチリひとつない整理整頓を大切にしているHarriet Craig (Rosalind Russell)がそういうのをまず第一に考えて女中から親戚から夫からみんなに居丈高に指示命令していくので、あきれられて次々と出ていかれて最後に家のなかひとりぼっちになってしまうまでの24時間。

そこまで極端な人なんていないし急にそんなふうになるわけでもないし、とは思うものの、芝居として何が彼女を独りにして何が周囲から彼女を遠ざけようとしたのかがなんとなくわかる(君は僕と結婚したんじゃない、この家と結婚したんだ、等)ようになっていて、その説得力がもたらす緊張感 - どっちも引かない - ときたらすごい。いまのミソジニーとはあまり関係ないと思うのだが、でもこうやって撒かれていった典型的な「嫌な女」のイメージが層として重ねられていった感はあるかも。

最後にアップになる彼女の顔のものすごさ - 怒りと悲しみと諦めとぜんぶが。


Working Girls (1931)

2月17日、土曜日の晩に見ました。
邦題は『めくらの鼠』?と思ったら、元になった戯曲のタイトルが”Blind Mice”だったのね。

Vera CasparyとWinifred Lenihanが書いた劇作 - ブロードウェイの初演時は全員女性キャストでひと部屋で展開したストーリーだったそう - これをZoë Akinsが脚色している。pre-Codeどまんなかかも。

インディアナの田舎からNYに出てきた姉妹 - 姉のMae (Dorothy Hall)と妹のJune (Judith Wood)がいて、お金もないし仕事を見つけなきゃ、ってJuneが見つけてきた中年科学者の速記者の職をMaeにあげて、Juneは電信オペレーターの職を得て、サックス奏者と付きあい始めて、Maeはいけいけ(死語)の弁護士とつきあい始めて、うぶな科学者からの求婚を断って、そしたら職を辞めてほしいって言われて、そこを辞めた途端に弁護士は別の娘と婚約したことがわかり、Maeがふぬけになってしまったので、Juneは再び科学者のところに行って彼女を復職させてあげてって頼んで、彼はわかった、っていうのだが自分が好きだったのはJuneの方ではないか、って思うようになり、やがてMaeが妊娠したことがわかって... (ぐるぐる)

仕事を得ることと恋人やリッチな結婚相手を探すことが都会で女性が生きていくためには必須で、そのためにはどんなことが起こったりどんなことに備えたりしなきゃいけないか、を極めていいかげんでてきとーとしか思えないストーリー展開と(男目線では)なんも考えてないふうに見えるモダンガールズ(= Blind Mice?)のなかできっちりと描いて、文句あるなら言ってみろ、愚かって笑えるもんならどうぞ(って言っているように思える)。

これが1931年のWorking Girls。

拍手が当然のように。見に来ている人たち、みごとに外さない。


Christopher Strong (1933)

2月19日、月曜日の晩に見ました。上映前に特集のキュレーターのCaroline Cassinさんからの簡単な紹介があった。

これも脚本はZoë Akinsで、Katharine Hepburnのふたつめの主演作で、彼女を有名にした一本。

前にも見てここのどこかに感想書いているのであんま書きませんけど、なんか変な作品で、Sir Christopher Strongとの一世一代の恋に賭けてきれいに散ったLady Cynthia Darrington (Katharine Hepburn)にしても、やはり妻のある男性と恋におちて親と諍いをおこすMonica (Helen Chandler)にしても、結局男性の秩序と論理中心社会の枠の中で機能してるだけのように見えてしまうのと、でもそんなこと言ったって恋は起こるんだぼけ知るか! っていうのが入り混じっていて、でも死んじゃったらだめだからー。天国のCynthiaが語っていく形式にすればよかったのに … とか。


ここでまた切る。 次でDorothy Arznerのシリーズはおわり。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。