2.29.2024

[art] Yoko Ono: Music of the Mind

2月18日、日曜日の午前、Tate Modernで見ました。91歳になられたYoko Onoの回顧展。ずっと楽しみにしていたので、これからも通うように見ていきたい。1950年代から最近までの、200点に渡る「作品」がぶちまけられたように並べられている。

作品を鑑賞する、というよりは、個々のピースに接して心がたてるいろんな音(自分のもある、隣の人のもある)を音楽のようにして聴いていく – “Music of Mind”ってそういうものなのではないか。今なら代理店が「観客参加型」と呼んだり、今ならYouTuberみたいな連中が得意になって威張り散らして「拡散」しきたがるようなことに、Onoは70年以上前からたったひとりで取り組んできた。

最初は詩のような言葉の断片で、その欠片が、楽譜のインストラクションが届いた先で立てる、こちらに返ってくる小さな音の連なりが音楽になること、その音楽が空間を作ること、その空間にひとが集まること、ひとが集まると…  こんなふうに全てが繋がっているとは思わないし、シンプルでわかりやすいことが生むであろう誤解や非難中傷も来るだろうし、そこには当然の苦難や苦闘もあったのだと思う、でもそういうのを含めようが外そうが、モノクロ - 全体にカラーではなくてモノクロ - 写真の彼女は笑顔ではなくて、つーんとしていてどこまでもかっこよいし、なんて素敵な声だろう、っていつも思う。

わたしはJohn Lennonの功績って彼女を表に引っぱり出したことくらいだと思うし、”Imagine”の本当の作者(なんてばからしいけど)はYoko Onoだと思っている。まじで。この展示でも一緒にやっているレコードとかBed-inのは出てくるものの、John Lennonはたまたま映りこんでいる、程度の扱いで、それは圧倒的に正しくて、それでもこれだけの内容になる。

展示のなかにあった自分の影の輪郭をチョークでなぞったり、板に釘を打ちつけるやつは自分でもやってみる、そういうのがいっぱいあって、もちろんそんなので何がどうなるわけでもない。ゴミが増えるだけじゃん、なのだが、でもこれって普段の会社のデスクワークとどう違うのか、説明できる自信はあんまないとか、こういう粒のような問いのひとつひとつが、つまるところアートには何が可能か? に繋がっているのだって、思っているとその最後に”The Personal is Political”というボードにぶつかる。こうして(こうしなくたって、もちろん)、例えば”Give Peace A Chance”って言うことができるのだって。

彼女のライブ作品は90年代のNYで、そういう(って?)現代音楽ばかりを演奏していたS.E.M. Ensembleというののライブで何度か聴いた。スリリングでかっこよくてさー。

9月までやっているので何度でも通いたい。それまでにロンドンに来る方はぜひ。
あと、カタログはコンパクトなサイズで、ものすごく充実しているので必携。


Sargent and Fashion

2月25日、日曜日の午前、Tate Britainで見ました。

みんな大好き - 英国人はほんとうに好きみたい - John Singer Sargentの肖像画ってなんであんなにかっこよいのか – かっこよく見えるのか、をファッションの観点を入れて探ってみる。いくつかの絵の横には肖像画のモデルが来ていたのに近い服やアクセサリーも展示されているのだが、その現物よりも、それを纏った肖像画のほうが断然かっこよくなってしまう。光の当て方、ドレープや裾のまくり方、もちろん肩や腕や指のつくるポーズそのもの – いまのファッション写真家がモデルに対して細かく注文つけたり補正したりしているところを、この人はひとりでちゃちゃっと – そうみえる - 最高のフォルムとイメージを作りあげてしまう。写実的であるのとはあまり関係なさそうなとこで、ファッションをどう使ってなにをどう見せるか、の肝になりそうなところを - どこまで探求していたのかわかんないけど、あっさりこんなもんでしょ、みたいに示してしまうところがかっこいいー、としか。

Tate Britainの誰もが知っている名品のひとつ”Carnation, Lily, Lily, Rose”はもちろん、“Madame X”がMETから来てるし、”A Lady in White”はあるし、Vernon Leeの肖像はあるし、ボストンからワシントンからスコットランドから、世界中から来ていて、どいつもこいつもとにかくきれいだなー、しかない。

Sargentは2017年にDulwich Picture Galleryで”Sargent: The Watercolours”ていう展示を見てて、この時もすごいなー、って思ったことを思いだしたりした。

あと、“Women in Revolt !  Art and Activism in the UK 1970-1990”の展示ももう一回見る。ものすごく人が入っていてびっくりした。上階の常設展示の一角にステージが組まれていて、この展示絡みで、午後にGina Birchさんがパフォーマンスするって小さく書いてあった。えー当日に言われてもなー(午後は映画入れちゃってたし) だったの。

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