12.25.2022

[film] Meet Me in the Bathroom (2022)

12月16日、金曜日の晩、ShowTimeの7日間無料トライアルに入って見て抜けた。ずっと見たかったやつ。

もととなったLizzy Goodmanによるオーラルヒストリー本 “Meet Me in the Bathroom: Rebirth and Rock and Roll in New York City 2001–2011” (2017)は出てすぐ買ったのだが、いまは部屋内山のどこかに埋もれていていったいどこにあるのやらー。

1999年くらいからのNYのダウンタウンの音楽シーン - 特に9/11以降に火がついて何が出てきてもなんだかおもしろいことになっていたあれらとはなんだったのか、を関係者インタビューやアーカイブ映像から追う。 ここのシーンについてはお客としてだけどそれなりに中にいたかんじはあるので。

冒頭にホイットマンの『草の葉』から”Give me the Splendid, Silent Sun” (1900)の一節が朗読される。こんなような;
Manhattan streets, with their powerful throbs, with the beating drums, as now;
The endless and noisy chorus, the rustle and clank of muskets, (even the sight of the wounded;
Manhattan crowds, with their turbulent musical chorus—with varied chorus, and light of the sparkling eyes
Manhattan faces and eyes forever for me.

NYのダウンタウンのアパートで、最初に出てくるのがThe Moldy PeachesのAdam GreenとKonya Dawsonで、彼らが煽りたてて引っ掻きまわさなかったらThe Strokesもシーンもなかったと思うので、これは正しい。 そこから先はStrokesが爆発していくさまとYeah Yeah YeahsとかInterpolとかの若き日々が描かれて、そこからなんのイントロもなく9/11のあの日の映像にー。

道路に射す日の光でもうあの日のそれとわかる、まだ怖くて目を逸らしてしまうところはある(現地での上映の際はだいじょうぶだったのだろうか?)のだが、映像はなんとか見ることはできて、音楽シーンの方は大きな声で復興! とか言わなくてもそこここで勝手に鳴り出したかんじになる(直後は音楽なんてぜんぜん聴く気になれなくて、どこかのタイミングからいてもたってもいられなくなったような)

より具体的にはThe Strokesがおらよ、ってかんじでHammerstein Ballroomでぶちあげて、InterpolのBowery Ballroomの一週間連続があっというまにSold outした辺りから燃え広がっていって、でもこれらのおおどころよりも、LiarとかRadio4とかOut Hudとか!!!とかGang Gand Danceとか、どこのヴェニューに行ってもそういう連中が必ずなんかやっている、そんなかんじで、退屈はしなかった。ライブが終わってもどこそこでパーティーやるから、とかはしごも普通だったし。

ベースはだいたいベースがうねって踊れるリズムの上に不機嫌なじゃきじゃきギターを重ねて、その上になげやりなThe Fallふうか、John Lydonの断末魔ふうの声や叫びが乗る(だけ) - 要は、英国の80年代初にポストパンクと呼ばれていたカテゴリーのにとても近い - PILによるCANやクラウトロックへの参照も含めて。そしてそこにはべたべたうっとおしい系のエモへの反動というのもあった気がする。

そういう流れのなかでESGやLiquid Liquidもライブをやってくれたり。
これだけじゃなくて、エレクトロ寄りでBlack DiceとかAnimal Collective(はボルチモアだけど)も出てきたし、もうちょっと跳ねる系だとLe TigreとかThe FaintとかLes Savy Favがいたし、エモ - ハードコア系だと、CursiveとかDeath CabとかRival Schoolsがでてきたし、とにかくどこかでなんかやっていた。毎日でもライブ行けたと思う。(行けなかったのは映画も見始めていたのと、他にもダンスとか演劇とかいっぱいあったのと、あと日々の仕事もな…)

で、それらのバンドが雑誌のように日々リリースしていく大量の音源を無節操に(ではないか、それなりの権威づけをしたりしつつ)リリースして下支えしていたのが、Other Musicっていう、あのドキュメンタリー映画になったレコード屋だったの。ミュージシャンもヴェニューもレコ屋も観客も、すべてが奇跡的に幸せな円の循環をなして繋がっていた気がする。そして、そういうのを「シーン」と呼ぶのだろうな、って。

映画の話に戻ると、当時あそこから出てきたビッグネームを中心に取りあげてすごかったんだぞ! って語るのはこのテーマに関していうとちょっとずれていたかも。それだけには止まらなかった”Meet Me in the Bathroom”のごちゃごちゃした喧騒こそ描かれるべきだったのに。

映画のなかでいっこ気になったのは、The Raptureの"House of Jealous Lovers”〜”Echos”のリリースをめぐる疲弊と絶望のなかでJames MurphyがLCD Soundsystemをたちあげた、みたいになっているのだが、LCDって、ふつうにRaptureの前座とかやっていたんだけどな..

行きたいなー。The WalkmenもThe Moldy Peachesもまたライブやるしなー。


クリスマスはほーんとに腑抜けのまま終わってしまった。仕事も納めてしまったので年末にかけては向こうの見てない映画を漁っていくくらいしかないのかー。なんももりあがらないー。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。