4.07.2020

[film] The Perfect Candidate (2019)

1日、水曜日の晩、Curzon Home Cinemaで見ました。

こんなふうに外に出られなくなった状態ってぜんぜん別の世界とか別の時代のお話しを見たり読んだりする恰好の機会で – だってそうしないとつまんなくてやってられないよね -  前の日は南北戦争前のアメリカに飛んで、この映画では現在のサウジアラビアに飛んで、こんなだったのかー、って言ったり、たいして変わんないよな、って言ったり、そんなことよりいまここの、あれこれ積んであるいろんなのとか仕事とか、なんとかしろよ(永遠のいま)、とか。

“Wadjda” (2012) 、”Mary Shelley” (2017)の監督Haifaa al-Mansourさんの新作で、サウジアラビアを舞台にした映画としては”Wadjda”に続くもの。

街道沿いの緊急病院に勤めるMaryam (Mila Al Zahrani)がいて、病院前の道路が舗装されていないので病院に入る前にいつも泥だらけになるし、患者の搬送も足下がガタガタで危なくてしょうがない。そうやって運ばれてきた老人(男)を治療しようとしても「男の医者はいないのか?」「女の医者はいやだ、わしの目を覗きこむんじゃない!」とか勝手にブチ切れてくるし、ドバイで開かれるコンファレンスに出かけようとしても出国のところで許可証が切れていることがわかり、取り直そうにも父親の許可が必要とか、いろいろ面倒でしんどい。

家には結婚式のビデオ撮影とかをしている姉妹のSelma (Dae al-Hilali)とSara (Nora al-Awadh)がいて、更には妻に先立たれ、ウェディングシンガーから国営のバンドに入れるかどうかできりきりしながらツアーに出る父Abdulaziz (Khalid Abdulraheem)がいて、姉妹はともかく父はトラディショナルな音楽をやっていることもあって典型的な旧いタイプのじじいで揺るがなくて、こちらもあーあ、になる。

そういう状況でも、そういう状況だから – 特に病院の前の道路の件はシリアスでなんとかしたくて - それなら、と市の選挙に立候補して、懸命に草の根の選挙活動をしていくのだが、ここでも女性であることがネックになって、実情は”The Perfect Candidate”の真逆で、手作り集会でどれだけ女性に訴えても、それわかるけど家では投票に行く許可を貰えないから、とか、男性に訴えても、いやいやそもそもそんなの(女性の政治参加なんて)ありえないしー みたいな反応が来て、そういうのが続いてふざっけんじゃねえぞおら! って男たちの前でブチ切れるMaryamはかっこいいの。

彼女の思うようにいかないこともいろいろいっぱいあるのだが、それって僕らのと似ているのかな? 比べちゃ失礼かな。 彼女に面と向かって「女の医者は嫌だ」っていうじじいは、日本だと平気でセクハラしまくるじじいになるし、許可がないから投票できないわ、ってしれっという女性たちは、日本だと選挙とか難しくてわかんないしー、っていう女性たちになるし、メディアでの女性の扱いときたら…  どっちもたいして違わなくないか ?  とか。

でもラストの父親との和解のとこがあるからいいか、になるの。亡くなった妻のカセットテープのエピソードとかなんか素敵で。しかもなんかしみるいい曲なのよね。


ああ、Hal Willnerまでいってしまった..  これ以上もう連れていかないで、ってだれに言ったらよいのだろうか。2011年にThe Stoneで見たPhilip Glassとのデュオ - Allen Ginsbergの詩を歌うやつ - はすばらしかったの。客席でLou Reedがぱちぱち大喝采でとてもやかましかった記憶が。

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