3日、火曜日の晩、BFIで見て聞いた。今回のTilda Swinton特集のキモ。彼女と一緒にキャリア全体を振り返って存分に語ってもらいましょうの90分。
開始前の会場にはDavid Bowieの”Low”(のA面の終わり)が流れていた。
聞き手はBBCで映画評をやったりBFIで月いちのトーク(いつもSold Outしているのでまだ見たことがない)をやっているMark Kermode氏。彼女の出演作からのクリップを上映しつつそれについてQ&Aしていく形で進められた。
最初は当然彼女のデビュー作であるDerek Jarmanの”Caravaggio” (1986)で、これ以降の彼女のトークでも頻繁にJarmanの名前が出てくることからも、Tildaにとって単に映画だけでなくアート全般、アートを作るという観点でその多くを彼に負っていることは明らかで、特に彼から教わったことについて“service to the sensibility”というものなのだと。アーティストはsensibility(どう訳したらよいのか)に奉仕するものなのだ、って。”Caravaggio”の制作時のエピソードではCanary Wharfのスタジオで撮っていて、周囲の工事のノイズがうるさくて音が入ってしまうのでどうしよう、ってみんな頭を抱えていたら映画のスコアなんてやったこともなかったSimon Fisher Turnerがそのノイズを丸めこむような音楽を作ってきた – そんなふうにみんなが自発的に工夫してやっていて、我々はJarmanの学校(Kindergarten)にいたのだと。
次はこの前の晩に上映された”Orlando” (1992)から、彼女が女性に変わる瞬間のクリップを。
その次が、彼女がオスカー助演女優賞を受賞した”Michael Clayton” (2007)から。George Clooneyとのやり取りのクリップの後、カメラの前に立ったとき何を意識するか?という質問に、全てはフレーム、と即答していた。どこにフレームがあってその間にはなにがあってフレームから近いのか遠いのか寄ってくるのか、そこだけ見て考えている、と。
続いて”We Need to Talk About Kevin” (2011) で、キャラクター作りについて聞かれて、いろんな考え方があると思うけど、と前置きして、アイデンティティってのをあまり信じていないのよね、と。
そこからBong Joon-hoの”Snowpiercer” (2013) - 未見 - での変な役(あれ、サッチャーだって)のシーンが出て(今回、行けなかったけどBong Joon-hoと彼女がこれを紹介する回もあったの)、Bong Joon-hoの聡明さを讃え、そこからこないだ一緒に仕事をしたApichatpong Weerasethakulのことにも話は及んで、とにかくexcitingだった、って。
あと、どんなハリウッドのブロックバスターフィルムの依頼を受けても必ずどこかexperimentalなことをやるようにしているのだ、わかんないかもだけど、って。えらいなー。
最後は映画ではなくPV - David Bowieの”The Stars (Are Out Tonight)” (2013) -をフルで流し、初めてBowieと出会ったのはLondonのSOHOのバーで、Bowieの方から声をかけてきたんだって(あなたそれがどんなすごいことかわかる? うん、しぬほどわかるよ)。Bowieについて1時間くらい語れそうな勢いだったのでそのうちにやってほしい。
この先、少しだけ客席からのQ&Aになったのだが、客席から「xxをやっているxxxというものですが.. 」って質問が来ると、彼女は必ず「ありがとうxx、あなたはきっとすばらしい仕事をしているにちがいないわ、あなたの質問、とても大事なところを突いているの」みたいに返すの。みんなに必ず。 個々の質問のよりもそっちの方でわあぁ、ってみんな目がハートになっていた。
気にいった映画作家と長くつきあってやっていく彼女のやり方が明らかになったのだが、今回は例えばJim JarmuschとWes Andersonが出てこなかった。JJの方の理由は不明だが、Wes Andersonの方は同じ場所でこの後にふたりのおしゃべり – “Magical Tour of Cinema”っていうのがあって、そっちはどれだけ粘ってもぜんぜんチケット取れなかったの。くやしかった。 そのうちどこかで見られますように。
1週間前の今頃はNYにいてとっても幸せだったのだが、1週間で完全に様変わりしてしまった。
先ほどついにBFIからメールが来て、今のところは営業を続けるつもりだけど何がどうなるかわからないので注意してね、って。(ほぼ同時にBAMからも来て、ライブ関係は中止、映画は50%の客席でやるからって)
いまのところはTildaさんも毎晩のように来てくれるようなので、ここはがんばって通うしかない。
3.14.2020
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