11.01.2019

[film] Monos (2019)

10月26日の土曜日の晩、Picturehouse Centralで見ました。

今年のSundanceをはじめ、各国でいろんな賞を獲りまくっていて、LFFでも(そういうのあったの知らなかったけど)”Best Film”ていうのを受賞している。 ブラジル人監督Alejandro Landesによるコロンビア – アメリカ映画。

コロンビアの山奥の高地で”Monos”と呼ばれる若い男女8人くらいの小隊が、小さい筋肉ムキムキの男から厳しく激しい軍事訓練(取っ組み合いとか)を受けている。隊のひとりひとりは”Wolf”とか”Lady”とか”Rambo”とか”Bigfoot”とか呼ばれていて、中にひとりだけ様子の違う”Doctora”と呼ばれる年長の女性がいて、やがて彼女は人質のように囚われていることがわかる。あとホルスタイン牛を一頭あてがわれてこいつも守って連れていくように、と。

上からの命令は絶対服従のようなのだが、それがいなくなるとみんなハメを外して、夜明けにハイになって機関銃をばりばりやっていたら牛に当たって死んじゃって、それで責任を感じたりいろいろ考えこんだりしていたリーダーのWolfが自殺して、連帯とかそんななにかが崩れていくかんじになり、死んだ牛の肉でバーベキューをしてそこらに生えていたキノコを食べたら(食べちゃうんだ..)みんな楽しくなって…  でもそうしていると敵(誰だかどこからかしらんが)から襲撃にあったり、Doctoraに逃げられたり、突然上官が現れたりいろいろ大変で、白目で見たり見られたり仲間割れしたり、それぞれが必死のサバイバル合戦になっていく。

彼らがどこに属するどういう組織の軍なのか、なんの目的でどうやって集められた連中なのかが明らかにされないまま、中高生くらいの若者たちで構成された小隊が任務を遂行していく途中で直面する困難とか乗り越えとか、そういうところ以上に集団行動の規範(縛り)とそこからの逸脱を繰り返しながら野生とか本性(みたいなもの)を貪る快楽(?)に目覚めていく若者たちの姿が生々しく捉えられていて、それはMonos – サル としか言いようがない剥きかた剥かれかたで、悪くないかも。

都会とかスラムの隅で凶暴かつ無軌道な若者が暴れまわる、というありがちなドラマとも違って、ジャングルで武器はひと揃い持っているけど、持っているが故に敵味方の見分けはだいじで、いろんなのが隣り合わせなのだがどっちみち暴れて騒がないと殺されてしまう可能性が高い、そういう状況下のドラマとして、誰かが評していたように”Apocalypse Now on shrooms” - キノコ入りの地獄の黙示録 – というのは余り外れていないかも。『闇の奥』ならぬ『極彩色の彼方』とか。
いまやどこまでも人の手は入っているし追ってくるので、「黙示録」なんてありえなくなった世界のー。

若者たちひとりひとりの顔がとても真剣でよくて、彼らにとってもほぼノンフィクションに近い状態のドラマとしてあったのではないか。 自分としてはぜったい関わりたくない、遠くから見ているだけで十分の世界だけど。

あと、Mica Leviの音楽がすごい。鳥の声や個々の息遣いと同期しながら可聴帯域の周辺を暴れまくっていて、“Jackie” (2016)ではちょっとおとなしくなったかな、だったけど、”Under the Skin” (2014)のやばいかんじが全開で、この音楽のためだけにシアターで見たほうがよいかも。

自分は“The Breakfast Club” (1985) でじゅうぶんだわ。

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