11.28.2019

[dance] Bolshoi - Mariinsky

Giselle
21日の晩、Bolshoi Theaterで見ました。

そもそも今回の旅の目的はマイリンスキー劇場に行きたいな、だったのでこれのチケットが取れた時点で準備は止めにすればよかったのに、モスクワの晩にはなんかないか、モスクワにきたらボリショイにはお参りすべきじゃないの、って見ていたら丁度これをやるのがわかった。

でもAlexei Ratmanskyによる新振付の初日、ということでずっとsold-outしてて取れそうにない。でもなー、なんかなーって未練たらたらたまにサイトを見に行ったりしていたら上演の一週間前、空きがあるのを見っけて、取った。ドバイからスマホでロシアのチケットを取る、ってやればできてしまうもんなのね。

劇場内部は昨年のスカラ座に匹敵するくらいぎんぎんのお城みたいなやつでボックスのセンターの王様席なんてすごいし、それ以上にお客たちときたら.. (省略)。帰りのクロークルームなんて過敏なわんわんがいたら即死したであろうくらい多様な濃い匂いが充満していた。

Giselle役はOlga Smirnova、Albrecht役はArtemy Belyakov。

ABTのGiselle(振付はJean Coralli - Jules Perrot - Marius Petipa)との対比でいうと、1幕の背景、遠くのお城がある山が雪景色になっていたり(ABTのは緑の夏山)、貴族がぞろぞろ登場するところで、ABTは高級犬2匹だったのにこっちはでっかい白馬(もちろん生もの)2頭だったり、村人もいっぱい出てきて背後でわーわー騒いでいる。一番違ったのは2幕のエンディングのところだろうか。衣装はふたりの配色 - 緑と赤茶 - は同じだったかも。

どっちが正しい/すごい、なんてものはないとして、ABTのが二人の愛の破綻とその後の思慕にずっと寄り添っていたのに対して、こっちのは村人や猟師の描写も含めてややソーシャルとかリアリズムも盛ってみた、かんじかしら。

ふたりのダンサーのダイナミックな動きと安定感 - 他のみんなも同様 - はボリショイとしか言いようがない。

あと、ここからあの“Giselle”を生み出したAkram Khanてすごいな、って。
(たぶん、このふたりはなんであんなにかわいそうなんだろうか、って考えていくと..)

Chopiniana - Le Spectre de la rose - The Swan - Le Carnaval

23日の晩、Mariinsky Theatreで見ました。

今は Mariinsky Balletで、今も毎年やっているのかどうかは知らないが90年代の中頃は春になるとMETでABTの公演があり、それが終わると続けてKirov Balletの公演があって、そんなに数を見れるわけではないのだがABTとどれくらい違うのかしら、ってたまに見て、あーこんなに違うものなんだねえおもしろいなー、っていうのがバレエを見るようになったきっかけ(のひとつ)。

ボリショイの建物が街の真ん中にでーんて聳えているのと比べるとこっちのは街中にそうっと佇んでいるふう(ちょっとBAMみたいな)で、外側は地味なのだが扉が開いて中に進んでいくと目の前に巨大な鵞鳥だかなんだかの羽みたいな緞帳が広がっていておうおう、ってなる。ホールの調度は色彩も含めて穏やかで上品で、かわいいかんじ。 週末だったので客の装いもボリショイほどぎんぎんではなかったかも。

Saint Petersburg が生んだ偉大なダンサー/振付師であるMichel Fokine (1880 – 1942)を讃えるプログラムで、30分の中編がふたつ(Chopiniana, Le Carnaval)、5-10分の短編がふたつ(Le Spectre de la rose, The Swan)。休憩ふたつ。

群舞が多かったせいもあってボリショイとの単純な比較はできないが、どこまでも繊細で丁寧で特に腕先の動きの滑らかさときたらすばらしいのと、衣装の色合いも素敵で、それらを総合した結果としてバレエってすごい芸術よねえ、としみじみする。小さい子供たちもいっぱい来ていたが、あの子たち、ぜったいバレエ好きになるよね。 

“The Swan”(これが”The Dying Swan”のオリジナルなのね)のソロはOxana Skorikさんで、自分がみた”The Swan”としてはMaya Plisetskaya - Nina Ananiashvili に続く3人目なのだが白鳥いろいろだなー、なんであんなに鳥になれてしまうのかねえ、って。

薄汚れた俗世界を切り裂く光としてのバレエを見せてくれたBolshoi、たったひとりでもふたりでも、それ自体でひとつの世界を現出させてしまうMariinsky、たまたまに決まっているのだが、きれいな対照を描いていてよかった。

終わったら建物の前の車寄せの混雑ぶりがありえないくらいにごちゃごちゃで見ていて飽きないこと。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。