11.18.2019

[film] Last Christmas (2019)

17日、日曜日の夕方、Picturehouse Centralで見ました。
UKでは公開直後のこの週末、”Ford v Ferrari”を破って興行収入1位になったそうで、よかったねえ。

Paul Feigの新作で、脚本をEmma Thompsonさんが書いている(彼女は出演も)。 この季節のクラシック - Wham! – George Michaelの同名曲をベースにしたロマンティック・コメディ .. ?

冒頭、前世紀末のユーゴスラヴィアで、教会で歌っている少女とそれを見ている両親と少女がいて、彼ら4人は家族であることがなんとなくわかる。

そこから2017年の英国-ロンドンで、クリスマスグッズを売るお店の店員をしているKate (Emilia Clarke)はダメ店員で店長のMichelle Yeohに怒られてばかりで、住むところも定まらず、なんで定まらないかというと間借り先でトラブル起こして追い出されを繰り返しているからで、要は(昔から漫画にある)典型的なドジばっかりのダメな女の子、なの。当然ママのEmma Thompsonは心配して電話ばかりしてくるので、家には近寄れなくて、うううってどうしようもなくなっていると、店先でTom (Henry Golding)っていう若者と出会って、得体が知れないんだけど話を聞いてくれるのでなんか安心できる。でも彼はいつもどこからかふらりと現れて、数日間いなかったりすることもあってなんなのかしら? って気になってだんだんにKateはTomの姿を探し求めるようになっていって。

というふたりのお話に、ロンドンに暮らすKateの家族の暮らし – 移ってくる前はLawyerだったが今はMini-Cabのドライバーをしているパパと、Kateとは衝突してばかりのできる姉と、心配症で壊れそうなママと、Brexitで移民に対して厳しくなりつつある英国、Tomがボランティアをしていたというホームレスシェルターの人たち、いろいろと絡んでくるの。

本筋に関してはこれ以上書かないほうがいい内容なので書かないけど、ちょっとびっくりしたかも。監督の前作”A Simple Favor” (2018)はサスペンスだったのである程度予測したりする余地もあったのだが、これは無防備にただのほっこりコメディと思っていたら…   後ろの列の子たちはみんなしくしく泣いてて、でもとってもよいお話なので見たほうがいいよ。 あの歌そのままのー

Kateがいつも着ている服はヒョウ柄のコートと、店員のときは緑のElfの衣装で。今の若い子は知らないかもしれないが、Will Ferrellが主演した”Elf” (2003) っていうクリスマス映画史上に残る大名作があって、Elfは自分の国を離れてマンハッタンにやってきた移民なの。いろいろ衝突もあるけど心をひとつにすることの大切さがクリスマスを背景に歌われるの。だから..

というわけで、このお話が2017年のロンドンを舞台にしているのは必然のようなもので、今こそElfを! Last Christmasを! なの。 いくつかのロケ場所はわかったけど、夜の路地とかのひっそり暗いかんじとか、よく描けている、素敵なクリスマスのロンドン映画でもあると思う。

主演のふたりの相性もとてもよくて、ふたりがじゃれ合うところとか、TomがめそめそするKateに”Look Up”ってやるとことか、ずうっと残っている。そういえばEmilia Clarkeさんって、”Me Before You” (2016)でも..

Wham! – George Michaelの音楽の持つ独特の湿り気もとてもよいかんじに馴染んでいる。Wham!の音って、自分のなかではHaircut One Hundredが萎んじゃった後に出てきた連中、ていう位置づけで、"Club Tropicana"の12inchとか、よく聴いてたし、今も聴けると思うし。

問題なのは、こんご”Last Christmas”を聴くたびに泣いちゃうかもしれなくなることだ。既に泣いちゃうようにセットされてしまっている人はいっぱいいるのかもだけど、これはなかなかこまるかも。

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